災害時の電子処方箋が気になって調べていると、災害時モードや緊急時医療情報閲覧、お薬手帳なしでの服薬履歴確認など、知らない言葉が一気に出てきて不安になりがちです。
さらに、避難所での対応や継続治療、オンライン診療と薬局受取の流れ、処方歴と調剤情報の見方、誤表示やダミーコード対策まで話が広がると、どこから理解すればいいのか迷います。
特に、「いざという時に本当にシステムが動くのか」「ネットが繋がらなかったらどうするのか」といった現場ならではの悩みは尽きません。
この記事では、災害時にまず何を確認して、どんな順番で動くと安心かを、私なりに整理してまとめます。
いざというときの準備にも使えるはずです。
記事のポイント
- 災害時モードと電子処方箋の全体像
- 緊急時医療情報閲覧でできることと注意点
- オンライン資格確認の現場イメージと確認順
- 薬局での災害対応手順とつまずきやすい点
災害時の電子処方箋の基本的な仕組み

ここでは、災害時の電子処方箋を理解するために欠かせない「災害時モード」「緊急時医療情報閲覧」「オンライン資格確認」を、ざっくり筋道立てて整理します。
細かい操作は現場のマニュアルに譲りつつ、まずは全体像をつかむのが狙いです。
普段の業務とは異なる特別なフローになるため、混乱しないように頭の中を整理しておきましょう。
災害時モードの対象と活用方法

最初に押さえたいのは、災害時の電子処方箋を語るとき、実務では災害時モード(緊急時医療情報・資格確認機能)がセットで登場する点です。
これは平時から常に使えるわけではなく、災害救助法の適用地域などで、厚生労働省からの通知に基づいて時限的に機能が開放される特別な仕組みです。
「今、自分の地域が対象になっているか」を確認することが全てのスタート地点になります。
この枠組みの中で、電子処方箋が役立つのは「直近の処方・調剤情報」が確認しやすくなるところです。
通常、レセプト情報は反映に時間がかかりますが、電子処方箋システム経由の情報は比較的リアルタイム性が高いため、災害直後の混乱期において非常に価値があります。
ただし、閲覧できる情報はあくまで「医療サービスの提供」という目的に限定されており、興味本位での検索は厳禁です。
システムには閲覧ログがしっかりと残る仕様になっているため、適正な利用が求められます。
覚えておきたい要点
- 災害時モードは対象地域・対象期間が厳格に決まっている
- 医療情報の閲覧は医療提供のために限られる(目的外利用禁止)
- 電子処方箋が広がるほど直近情報が充実し、救済の精度が上がる
対象地域や期間は災害ごとに通知され、状況に応じて延長や終了が判断されます。
例えば大規模災害時には、事務連絡で「適用第一報から一定期間」といった形で期間が示されることが一般的です。
出典:https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000427933.pdf
オンライン資格確認の操作手順

緊急時医療情報閲覧(災害時医療情報閲覧)は、患者さんがマイナンバーカードや健康保険証、お薬手帳を持っていない状況でも、条件を満たせば医療情報を確認できる仕組みです。
オンライン資格確認等システムの端末上で操作を行いますが、通常の資格確認とは入り口が異なります。
専用のメニューから「緊急時医療情報・資格確認機能」を選択し、検索モードへと移行する必要があります。
また、閲覧には「患者さんの同意」の考え方が深く関わってきます。
原則として、口頭などで本人の同意を得てから情報を閲覧しますが、意識不明や認知症などで意思表示が困難な場合、かつ生命や身体の保護が必要な緊急時には、例外的に同意なしでの閲覧が認められるケースがあります。
現場では「この状況で同意なしで見て良いのか?」と迷う場面が出てくるかもしれません。
そのため、私は公式の通知とマニュアルの範囲で確認するのが最も安全であり、自分だけで判断せず、周囲のスタッフや責任者と認識を合わせることが重要だと考えています。
注意したいポイント
災害時医療情報閲覧を行った場合、その事実は記録され、後から監査の対象となる可能性があります。
運用は地域・災害の状況で変わることがあるため、必ず最新の通知と公式の案内を確認し、根拠を持って操作を行うようにしましょう。
(出典:厚生労働省『電子処方箋』 https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html)
マイナ保険証がない場合の対処法

オンライン資格確認は、災害時に限らず患者さんの資格情報の確認に使われる仕組みですが、災害時には「カードも保険証も何もない」というケースが多発します。
マイナ保険証がない場合、システム上で患者さんを特定するための「検索キー」として、氏名、生年月日、性別、そして住所(または保険者名)の4情報が必要になります。
私が現場で想像しやすいように、手順の“型”を整理しておきます。
まずは対象地域で災害時モードが有効かを確認し、その上で患者さんから聞き取った4情報をもとに検索をかけます。
漢字の表記が不明な場合はカナ検索を試みるなど、柔軟な対応が求められます。
特定ができれば、そこから同意の手続きを経て、必要な医療情報を閲覧するという流れです。
よくある状況と次の一手(目安)
| 状況 | 確認のヒント | 次の一手 |
|---|---|---|
| マイナ保険証あり | 資格情報・服薬履歴の確認が進めやすい | 本人同意の上で必要情報を確認 |
| 保険証も手帳もなし | 氏名・生年月日・性別・住所で特定 | マニュアルに沿って4情報で照会 |
| 避難所で薬が不明 | 処方歴・調剤情報と聞き取りの併用 | 医師への共有→追加問診へ |
災害時の特例的な対応として、これらの一連の流れが認められていますが、あくまで非常時の措置であることを忘れないようにしましょう。
平時の感覚で安易に個人情報を検索することは許されません。
お薬手帳なしでも服薬履歴を確認

災害時は「マイナ保険証がない」「健康保険証もない」「スマホも充電がない」といった状況が普通に起きます。
お薬手帳を持たずに避難した患者さんにとって、過去の服薬履歴が確認できるかどうかは、健康維持に直結する死活問題です。
ここで大切なのは、焦って自己流で進めるより、公式の手順に沿って情報を引き出すことです。
閲覧できる情報には、大きく分けて「レセプト由来の情報」と「電子処方箋システム由来の情報」があります。
レセプト情報は網羅性が高いものの、反映までに1ヶ月以上のラグが生じることがあります。
一方、電子処方箋由来の情報は、対応している医療機関や薬局であれば直近のデータが反映されている可能性が高いため、災害時にはこの「直近情報」が非常に頼りになります。
これを読むと、災害時に「とにかく薬だけ出して」と言われたときでも、情報の裏取りをどう進めるかの筋道が見えてきます。
事前に想定しておきたいこと
- 患者さんの本人確認や同意の取り方をチーム内で統一しておく
- 災害時モードの対象期間は状況により変わり得ると理解する
- 迷ったら記憶に頼らず、必ず公式の操作マニュアルに戻る
情報が見つからない場合でも、「ない」ということが一つの情報になります。
その場合は、患者さんの記憶や持参薬の現物確認など、アナログな手段を総動員して情報を補完することになります。
直近の調剤情報と引換番号の活用

お薬手帳がないとき、一番怖いのは「同じ成分を二重に飲んでしまう」「併用禁忌の薬を渡してしまう」といったリスクです。
たとえ緊急時であっても、薬剤師として安全管理の責務は変わりません。
だからこそ、服薬履歴確認の導線があるだけでも安心感が違います。
災害時は、聞き取りと医療情報の両方を使って、できるだけ確度を上げる発想が現実的だと思います。
特に電子処方箋の仕組みでは、患者さんが「引換番号」を持っている場合があります。
これは処方箋の内容にアクセスするための鍵となる番号で、これがあればスムーズに処方内容を特定できます。
また、システム上では医師が発行した「処方情報」だけでなく、薬局が実際に調剤した「調剤情報」も参照できる場合があります。
処方変更があった場合などは両者に差異が生じることもあるため、両方の情報を突き合わせることで、患者さんが実際に何を服用しているのかをより正確に把握できるのです。
それでも「情報が全部そろう」とは限らないので、私は見えた情報をうのみにせず、患者さんへの確認や医師への相談につなげる前提で使うのがいいと思っています。
システムはあくまで判断を支援するツールであり、最終決定するのは人間です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/001203369.pdf
災害時の電子処方箋を用いた対応

ここからは、薬局側の動きに寄せて、処方歴・調剤情報の読み方、避難所での継続治療、オンライン診療と薬局受取、そして誤表示やダミーコードの注意点まで、私が実務目線でイメージしやすい形に落とし込みます。
現場で実際に起こりうるトラブルを想定し、事前の心構えを作っておきましょう。
避難所での適切な継続治療の支援

災害時は「とにかく今すぐ必要な薬」を優先しがちですが、落ち着いて考えると処方歴と調剤情報の読み分けが重要です。
糖尿病や高血圧などの慢性疾患の場合、数日間の服薬中断が体調悪化を招く恐れがあります。
避難所のようなストレスのかかる環境ではなおさらです。
ここで私が便利だと思うのが、患者さんが事前に引換番号を伝えられるケースです。
混雑しやすい状況でも、来局前に準備が進みやすくなります。
もし避難所にモバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)が派遣されている場合、そこでの調剤データも電子的に連携されることが理想です。
しかし、現状ではすべての情報が即座に同期されるわけではありません。
そのため、画面上のデータだけに頼らず、「最近お薬が変わったりしませんでしたか?」といった患者さんへの一声が、重大なインシデントを防ぐ最後の砦になります。
意識したい読み方
- 直近の処方・調剤情報を優先して確認し、現在服用中の薬を特定する
- 画面情報と患者さんの聞き取り内容を突き合わせて、不一致があれば拾う
- 少しでも不安があれば、自己判断せずに医師に共有して確認を取る
情報の表示や反映タイミングは通信状況やサーバーの負荷状況で変わり得るため、焦らず確認作業を進めることが大切です。
オンライン診療と薬局受取の流れ

避難所対応で私が一番大事だと思うのは、継続治療を切らさないことです。
薬が途切れると体調が崩れやすく、結果として災害医療全体の負担も増えます。
被災地でかかりつけ医が被災してしまった場合など、遠隔地の医師によるオンライン診療が強力な選択肢となります。
オンライン診療と電子処方箋を組み合わせることで、処方箋の原本を郵送で待つことなく、データのやり取りだけで調剤が可能になります。
これにより、物理的な距離の壁を超えて薬を受け取れる可能性が広がります。
ただし、これには安定した通信環境と電力が必要です。
災害用Wi-Fi(00000JAPAN)や衛星通信などのインフラが整っているかどうかも、運用可否を分けるポイントになります。
私は「万能な仕組み」と考えるより、使えるときに使える選択肢として、平時から情報を押さえておくのが良いと思っています。
避難所で私が迷いそうなときの整理
情報が足りない前提で、できる確認を積み上げるのが現実的だと思います。
電子的に見える情報は大きな助けになりますが、最後は患者さんの顔色や訴えを確認し、医師と密に連携することが不可欠です。
誤表示やダミーコードへの対策

災害でいつもの医療機関や薬局が使えないとき、オンラインシステムは頼みの綱ですが、同時に「表示が違う」「データがずれている」といったトラブルも想定しなければなりません。
特に、医薬品マスタの設定ミスやシステムの不具合により、意図しない薬品名が表示されたり、存在しない「ダミーコード」が表示されたりするリスクはゼロではありません。
現場では、「画面にはA錠と出ているが、患者さんはB錠だと言っている」という場面に遭遇するかもしれません。
このとき、システムを過信して「患者さんの記憶違いだろう」と決めつけるのは危険です。
過去の事例では、システム上の表示と実態が異なっていたケースも報告されています。
私は、こうしたシステムのエラーや限界を知っておくことこそが、本当の意味でのリスク管理だと感じます。
意識したいデメリット面
誤表示やマスタ設定の不備は、災害時の混乱と重なるとリカバリーが難しくなります。
違和感を持ったら処方医に確認する、お薬手帳の紙の記録を探すなど、複数の情報源でダブルチェックを行う姿勢が、結果的に災害対応の安心につながると思います。
通信障害時のアナログな代替運用

便利な仕組みでも、災害時には広域停電や通信断絶といった「最悪のシナリオ」も起こり得ます。
電子処方箋システムはクラウド基盤であるため、ネットが繋がらなければ機能しません。
では、その瞬間に薬剤師はどう動くべきでしょうか。
答えは「アナログへの回帰」です。
お薬手帳の履歴、患者さんが持っている薬の説明書、空のPTPシート、そして本人の記憶。
これらをつなぎ合わせて処方内容を推定し、医師と相談して調剤を行うことになります。
この際、紙の処方箋(控え)やスマホ画面の二次元コード画像なども、正式な処方箋ではありませんが、重要な判断材料になります。
そして、通信が復旧した際には、事後的に電子処方箋管理サービスへ「調剤済」の情報を登録し、情報の整合性を保つことが求められます。
ここは「怖いから使わない」ではなく、どこでズレが起きやすいかを知った上で、確認の手順を整えるのが現実的だと感じます。
出典:https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2025/251218_1.pdf
まとめ:災害時の電子処方箋の備え

ここまで災害時における電子処方箋の活用と、薬局での具体的な対応手順について解説してきました。
正直なところ、「覚えることが多くて大変そう」「本当に使いこなせるか不安」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、全てを完璧に暗記する必要はありません。
最も大切なのは、「いざという時に使える選択肢がある」と知っておくことです。
システムはあくまで、私たちが患者さんに適切な医療を届けるための道具に過ぎません。
万が一デジタルが機能しない場面では、私たち自身の「対話力」と「アナログな記録」が最強の武器になります。
平時から少しずつマニュアルに目を通し、職場で「もし通信が止まったら?」と話し合ってみる。
そんな小さな備えの積み重ねが、災害時の混乱から患者さんと自分自身を守ることにつながります。
この記事が、もしもの時の「お守り」として、皆さんの役に立つことを願っています。
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