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漢方胡散臭い?そのイメージの理由と漢方薬のエビデンスは?

漢方胡散臭い」と聞いた事があると思いますが、漢方薬に対して少し懐疑的なお気持ちや、なぜ怪しいと感じるのか、その理由を知りたいと思いませんか?

私自身、薬剤師として西洋薬には馴染みがありましたが、漢方については「本当に実感できるの?

「すぐ変化がないんじゃない?」

科学的根拠は?」と疑問に思うことが多くありました。

独特の匂いや味もありますし、副作用がない訳ではないと聞きます。

なんとなく、経験則だけで語られているような印象を持っていた時期もあります。

また、街角で見かける漢方薬局が怪しい雰囲気に見えて、なんとなく入りにくい…と感じる方もいらっしゃるでしょう。

一方で、最近では病院で西洋薬と一緒に保険適用の漢方薬が処方されるケースも確実に増えており、その実態が気になるところです。

この記事では、漢方になぜ「胡散臭い」というイメージがつきまとうのか、その理由や背景を私なりに探りつつ、漢方と西洋薬の根本的な違いや、利用する際に知っておくべき注意点について、専門家というよりは「漢方に興味がある学習者」の視点でまとめていきます。

記事のポイント

  • 漢方になぜ「怪しい」イメージがあるのか
  • 漢方の「実感」に関する考え方
  • 西洋薬と漢方薬のアプローチの違い
  • 漢方を利用する際の注意点とリスク

漢方胡散臭いと感じる理由

漢方胡散臭いと感じる理由

「漢方」と聞くと、なんとなく掴みどころがなく、「本当に大丈夫?」と感じてしまうのはなぜでしょうか。

その「胡散臭い」と感じるイメージの背景には、西洋医学の常識とは異なる、漢方独自のいくつかの特徴があるように思います。

私なりに感じているポイントを掘り下げてみます。

実感しにくいと言われる理由

実感しにくいと言われる理由

漢方薬が「実感しにくい」「変化が分かりにくい」と言われる背景には、その作用の仕方が西洋薬と根本的に異なる点が挙げられます。

西洋薬は、多くの場合、特定の「ターゲット」を狙い撃ちします。

例えば「熱を下げる」「痛みを抑える」「細菌を叩く」といった特定の症状や原因に対し、ピンポイントで強く働きかけるように化学的に設計されています。

そのため、服用後の変化がシャープで分かりやすい傾向にあります。

一方、漢方薬は、特定の症状だけを狙うのではなく、その症状を引き起こしている体全体のバランスの乱れを整えることを目的としています。

複数の生薬(植物の根や葉、茎、鉱物など、自然由来のもの)が組み合わさっており、それらが全体として穏やかに働きかけるものが多いのが特徴です。

例えば、冷えやすい、疲れやすいといった体質的な背景にじっくりとアプローチするタイプの漢方薬の場合、西洋薬のようなシャープな変化を感じにくく、「本当に何か変わっているの?」「飲んでる意味あるのかな?」と不安に感じてしまうことがあるようです。

即効性を期待して用いられるものも

もちろん、全ての漢方薬がゆっくりという訳ではありません。

中には、急性の症状に対して速やかな反応を期待して使われるものもあります。

  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):急なこむら返り(足のつり)などに用いられることがあります
  • 葛根湯(かっこんとう):風邪のひきはじめで、まだ汗をかいていない、寒気がするといった状態に用いられる代表的な漢方薬です

このように、漢方薬はその目的によって、じっくりタイプとスピードタイプがあるんですね。

なぜ怪しいイメージがあるのか

なぜ怪しいイメージがあるのか

「怪しい」というイメージは、漢方医学の「分かりにくさ」や「とっつきにくさ」から来ている側面が大きいと感じます。

西洋医学が解剖学や病理学に基づき、血液検査の数値や画像診断(レントゲン、CTなど)で状態を客観的に判断しようとするのに対し、漢方医学は「気・血・水(き・けつ・すい)」や「証(しょう)」といった独自の概念を用います。

「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその働き、「水」は血液以外の体液を指し、これらが滞りなく巡っているのが健康な状態、という考え方です。

「あなたの“証”は『虚証(きょしょう)』で『瘀血(おけつ)』がある」と言われても、西洋医学に慣れていると「???」となってしまいますよね。

この独自の理論体系が、現代の科学的な視点から見ると少し非科学的で「怪しい」「おまじないみたい」という印象を与えてしまうのかもしれません。

また、使われる生薬の中には、石膏(せっこう:鉱物)や牡蛎(ぼれい:カキの殻)、竜骨(りゅうこつ:大型哺乳類の化石)など、「え、これも薬なの?」と思うようなものが含まれている歴史もあります。

こうした点も、現代の感覚からすると不思議に思える一因でしょう。

科学的根拠(エビデンス)はある?

科学的根拠(エビデンス)はある?

「漢方にはエビデンス(科学的根拠)がない」という声もよく耳にします。

これは、西洋医学で求められる「エビデンス」の基準に、そのまま当てはめるのが難しい、というのが実情に近いと思います。

西洋薬の「エビデンス」は、主に「ランダム化比較試験(RCT)」、特に「二重盲検比較試験」という非常に厳格な臨床試験で示されます。

これは、本物の薬と偽薬(プラセボ:薬の成分が入っていないもの)を、処方する医師にも、服用する患者にも分からないようにランダムに割り当てて、その結果を統計的に比較する方法です。

しかし、漢方薬はこの方法での証明が難しいとされています。

それには、以下のような理由があります。

  • 複合成分の複雑さ:漢方薬は多くの場合、複数の生薬の組み合わせです。どの成分がどのように複合的に作用しているのかを単一的に特定するのが困難です
  • 偽薬(プラセボ)作成の困難さ:漢方薬は独特の味や香りがあります。成分ゼロで、見た目も味も香りもそっくりな偽薬を作るのが非常に難しいとされています
  • 「証(体質)」の問題:漢方は「証」という体質に合わせて処方します。同じ症状でも人によって薬が異なるため、西洋薬のように「この症状にはこの薬」という画一的な比較試験が組みにくいのです

ただ、「エビデンスがない」=「何も分かっていない」ではありません。

近年は西洋医学的な手法を用いた基礎研究(動物実験や細胞実験での作用メカニズムの解明)や、臨床研究も盛んに行われています。

研究が進められている漢方薬の例

例えば、以下のような漢方薬は、西洋医学的な観点からの研究も進められています。

  • 大建中湯(だいけんちゅうとう):手術後のお腹の張り(腸閉塞の予防など)に関連して、消化管の運動をサポートする作用について多くの研究がなされています
  • 六君子湯(りっくんしとう):食欲不振や胃もたれなどに関連して、消化管機能や食欲に関わるホルモン(グレリン)への働きなどが研究されています

このように、漢方薬を現代の科学で解明しようとする試みは、国レベルでも進められています。

(参考資料:日本医療研究開発機構(AMED)「創薬基盤推進研究事業」

漢方の場合、数百年、あるいは千年を超える長い歴史の中で「この症状・体質の人にはこれが良かった」という膨大な経験的なデータ(経験知)が蓄積されており、それが西洋医学とは異なる形の「根拠」となっている側面もあります。

すぐに変化がないは本当か

すぐに変化がないは本当か

これは「実感しにくい理由」とも深く関連しますが、「すぐに変化がない」=「意味がない」と考えるのは早計かもしれません。

漢方薬は、今出ている不快な症状を力ずくで抑え込むだけでなく、なぜその症状が繰り返し起こるのか、という体質的な背景にアプローチすることを得意とするものが多いです。

例えば、慢性的な冷え、疲れやすさ、胃腸の弱さといった体質的な問題をじっくりと整えていく場合、数日や数週間で劇的な変化を感じることは難しいかもしれません。

西洋薬が「今起きている火事を消す(消火)」のが得意だとすれば、漢方は「そもそも燃えにくい体質(防火・防湿)」を目指したり、「火事の後の焼け跡を整備する(復旧)」のを手伝ったりするイメージが近いでしょうか。

もちろん、前述の葛根湯などのように、急性の症状に使われるものは、タイミングが合えば速やかな反応が期待されます。

漢方薬と一括りにせず、その目的や種類によって期待される時間軸が異なると理解するのが良さそうです。

知っておきたい注意点やリスク

知っておきたい注意点やリスク

「漢方は天然由来だから安全」「副作用がない」と思われがちですが、これは非常に危険な誤解です。

薬である以上、それが天然由来の生薬であっても、体質に合わなければ望ましくない反応(副作用)が起こる可能性は必ずあります。

生薬も化学物質の集まりであり、特定の成分にアレルギー反応を示す人もいます。

漢方薬で特に注意すべき副作用の例

漢方薬による副作用として、特に知っておくべきものがいくつかあります。

  • 偽アルドステロン症:多くの漢方薬に含まれる「甘草(カンゾウ)」という生薬の摂取量が(意図せず)多くなると、体がナトリウムと水分を溜め込みやすくなり、むくみ、血圧上昇、だるさ、手足のしびれ、筋肉痛(低カリウム血症による)などが現れることがあります,複数の漢方薬を併用するとリスクが上がることがあります
  • 肝機能障害・間質性肺炎:頻度は稀ですが、重篤な副作用として報告されています,肝機能障害では、だるさ、食欲不振、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが見られます,間質性肺炎では、空咳(からぜき)、息切れ、呼吸困難、発熱などが初期症状として現れることがあります
  • 胃腸症状・皮膚症状:体質に合わない場合、胃もたれ、食欲不振、下痢、便秘、発疹、かゆみなどが出ることがあります

「何となく体調が悪い」「いつもと違う」と感じたら、自己判断で続けず、すぐに服用を中止し、処方した医師や薬剤師に相談することが非常に重要です。

特に、空咳や息切れ、黄疸などの症状は、絶対に見逃してはいけません。


漢方薬も医薬品です。

安易な自己判断は避け、専門家の管理のもとで利用することが大前提ですね。

 

漢方胡散臭いイメージと実際の姿

漢方胡散臭いイメージと実際の姿

「胡散臭い」というイメージは、その分かりにくさや西洋薬との常識の違いから来ている部分が大きいようです。

では、実際の医療現場ではどのように捉えられているのでしょうか。

保険適用の話や、西洋薬との上手な使い分けについても触れてみます。

医師が漢方を処方する理由

医師が漢方を処方する理由

最近は、西洋医学を学んだ医師が漢方薬を処方するケースが本当に増えました。

私の経験でも、内科、婦人科、皮膚科、耳鼻科など、多くの診療科で漢方薬が活用されています。

これにはいくつかの理由が考えられます。

一つは、西洋医学的なアプローチでは対応しきれない症状があることです。

例えば、「何となく調子が悪い」「疲れが取れない」「冷えが気になる」「イライラしやすい」「食欲がない」といった、検査ではハッキリとした異常が出にくい「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれる状態です。

こうした場合、西洋薬では対症療法(例えば睡眠導入剤や鎮痛剤、ビタミン剤など)に限られがちですが、漢方医学の「証」という視点で見ると、体全体のバランスの乱れとして捉え、アプローチできる場合があります。

また、がん治療などで西洋薬(抗がん剤など)の副作用(食欲不振や倦怠感、しびれなど)を和らげる目的(サポーティブケア)で、漢方薬が併用されることも増えています。

これは、治療そのものをサポートし、患者さんの生活の質(QOL)を維持するために重要な役割を果たしています。

保険適用される漢方薬とは

保険適用される漢方薬とは

「漢方=保険が使えない高価なもの」「自費診療」というイメージもありますが、現在日本では約150種類もの漢方エキス製剤が保険適用となっています。

これらは、ツムラやクラシエ、コタローといった製薬メーカーが、厳格な品質管理のもと製造している「医療用医薬品」です。

生薬を煎じた液からエキスを抽出し、顆粒や錠剤にしたもので、品質が均一化されています。

病院やクリニックで医師が「治療に必要」と判断して処方すれば、西洋薬と同じように健康保険が使え、患者さんは自己負担額(通常1〜3割)で利用できます。

ドラッグストアで市販されている一般用医薬品(OTC)の漢方薬とは、同じ名前(例:葛根湯)でも、含まれるエキスの量や、もちろん価格(OTCは全額自己負担)も異なります。

医師が処方するということは、それだけ国が医薬品として認めているということですね。

漢方薬局が怪しいと感じたら

漢方薬局が怪しいと感じたら

病院とは別に、「漢方薬局」や「漢方専門薬局」がありますよね。

独特の雰囲気があって「怪しい」「高額なものを勧められそう」と不安に感じる方もいるかもしれません。

こうした薬局では、病院で処方されるエキス製剤だけでなく、生薬そのものを調合して、自宅で煮出して飲む「煎じ薬(せんじやく)」を扱っていることが多いです。

煎じ薬は、その人の体質(証)に合わせて生薬を細かく調整できるというメリットがありますが、原則として保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。

カウンセリング(漢方相談)にも時間がかかることが多く、その分、費用も高額(例えば1ヶ月分で数万円など)になる傾向があります。

信頼できる薬局を見極める視点

もし漢方薬局を利用するなら、以下のような点に注目すると良いかもしれません。

  • カウンセリング(問診)が丁寧か:漢方は体質(証)の見極めが最も重要です,症状だけでなく、食事、睡眠、排泄、ストレス、生活習慣、体全体のことを時間をかけて詳しく聞いてくれるかは大きなポイントです
  • 説明が分かりやすいか:なぜその漢方が合うと考えられるのか(証の説明)、費用はいくらかかるのか(煎じ薬なのかエキス製剤なのか)、どのくらいの期間を目安にするのかを、こちらが納得できるように説明してくれるかを確認しましょう
  • 無理に勧めないか:高額なものを一度に大量に勧めたり、不要な健康食品などをセットで販売しようとしたり、過度に不安を煽ったりするような場所は避けた方が賢明です

薬剤師さんや登録販売者さんとの相性もありますので、不安な点や疑問点は遠慮せずに質問し、自分が納得した上で利用することが大切です。

西洋薬と漢方薬の役割の違い

西洋薬と漢方薬の役割の違い

ここまで触れてきたように、西洋薬と漢方薬は、得意分野やアプローチが異なります。

どちらか一方が優れているというものではなく、お互いの強みを生かし、弱点を補い合う関係です。

西洋薬(の一般的なイメージ) 漢方薬(の一般的なイメージ)
アプローチ 病気の「原因」や「症状」を直接攻撃・抑制(ピンポイント・単一成分) 体全体の「バランス」を整え、体が本来持つ力をサポート(全体的・複合成分)
得意分野 感染症(細菌など)、急性の強い症状、手術、検査で異常が明確な疾患 不定愁訴、体質的な問題、慢性的な症状、西洋薬治療の補助
考え方 臓器や病名に基づいて診断・治療 体質や状態(証)に基づいて診断・治療

同病異治(どうびょういち)と異病同治(いびょうどうち)

漢方の考え方を象徴する言葉に、「同病異治」と「異病同治」があります。

  • 同病異治:同じ病名(例:風邪)でも、その人の体質(証)が違えば、使う漢方薬も異なる、という考え方です。体力がある人の風邪(実証)と、体力がない人の風邪(虚証)では、処方が変わります
  • 異病同治:異なる病名(例:頭痛とめまい)でも、その原因となる体質(証)が同じ(例:水分の巡りが悪い「水滞」)であれば、同じ漢方薬が用いられることがある、という考え方です

このように、病名をピンポイントで狙う西洋薬とは、根本的な「ものさし」が異なるのです。

体質(証)と漢方の考え方

体質(証)と漢方の考え方

「漢方胡散臭い」と感じる最大の要因かもしれない「証(しょう)」について、もう少しだけ触れておきます。

「証」とは、その人の体力、抵抗力、症状の現れ方、体格、声の大きさ、顔色、舌の状態、お腹の力加減(腹診)など、あらゆる情報から総合的に判断される、その時点での「心と体の状態」を示すものさしのようなものです。

例えば、体力や抵抗力が充実していて、反応が強く出やすいタイプを「実証(じっしょう)」、反対に体力がなく弱々しく、エネルギーが不足しているタイプを「虚証(きょしょう)」と分けたりします。

他にも、体が冷えている「寒証(かんしょう)」、熱っぽい「熱証(ねっしょう)」など、様々なものさしを組み合わせて、その人の状態を立体的に捉えようとします。

同じ風邪でも、体力がある「実証」の人には葛根湯のような発散させる力の強いものが向くかもしれませんが、体力のない「虚証」の人がそれを使うと、かえって体力を消耗させてしまい、状態を悪化させる可能性すらあります。

この「証」が合っていないと、漢方薬はうまく働かないとされており、これが「あの人には良かったけど、私には合わなかった」ということが起こる最大の理由です。

漢方薬の自己判断が難しく、専門家による見極めが重要視されるのは、この「証」の判断が非常に専門的で奥深いからなんですね。

まとめ:漢方胡散臭いと思う前に知るべきこと

まとめ

「漢方胡散臭い」というイメージは、私たちが慣れ親しんだ西洋薬の「常識」とは異なる理論体系や、分かりにくい独自用語、「実感」の仕方の違いから来ている部分が大きいと感じます。

漢方は、魔法の薬でも、根拠のない怪しげな民間療法でもなく、中国から伝わった医学をベースに、日本の気候や日本人の体質に合わせて独自に発展してきた、日本の「伝統医学」の一つです。

西洋医学とは異なる「ものさし」で体を見るアプローチであり、当然ながら得意・不得意があります。

しかし、万能ではありません。

「副作用がない」という誤解は非常に危険ですが、西洋薬ではなかなかうまくいかない慢性的な不調や、検査では異常が出ない「何となくの不調」に対して、別の選択肢を提示してくれる可能性も秘めています。

最終的な判断は専門家へ

この記事の内容は、あくまで漢方に興味がある一個人の視点で情報をまとめたものです。

特定の漢方薬の利用を推奨したり、何らかの変化を保証したりするものでは一切ありません。

漢方薬の利用を検討する際は、市販薬であっても、医療用医薬品であっても、必ず医師や薬剤師、または漢方に詳しい登録販売者など、専門知識を持つ方に相談してください。

ご自身の体質(証)や現在の症状、服用中の他の薬(西洋薬・漢方薬問わず)との兼ね合いなどを総合的に判断してもらうことが、安全で適切な利用への唯一の道です。