薬剤師として現場で経験を積んでいくと、ふと「自分の薬局を持ちたい」という独立への思いが芽生えることはありませんか?
理想の医療を提供したいという情熱はもちろんですが、やはり気になるのは「独立すれば今より年収は上がるのか?」という現実的な問題ですよね。
勤務薬剤師としての年収に限界を感じ、開業によって1000万円、あるいはそれ以上の高収入を目指したいと考えるのは、キャリアアップとして非常に健全な野心だと思います。
しかし、ネットで情報を集めると「開業薬剤師は儲からない」「今は冬の時代だ」といったネガティブな情報も多く、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
平均年収の実態や手取りの仕組み、そして成功者が実践している具体的な戦略について、私自身が調査し、見聞きした情報を整理してお伝えします。
記事のポイント
- 薬局経営者のリアルな年収相場と手取りの計算方法
- 年収1000万円・2000万円の壁を越えるための条件
- 開業しても儲からない構造的な原因と失敗のリスク
- 2024年調剤報酬改定を乗り越え年収を上げるための戦略
開業薬剤師の年収の現実と仕組み

独立後の年収は、勤務時代のように「給与規定」で決まるものではありません。
経営の成果がダイレクトに反映される一方で、税金や資金繰りといった複雑な要素が絡み合います。
まずはその基本的な仕組みと、現実的な数字の目安について深掘りしていきましょう。
薬局経営者の年収は1000万可能か

結論を申し上げますと、開業薬剤師として年収1000万円を達成することは、十分に可能であり、現実的な目標です。
一般的な勤務薬剤師の年収は、地域や経験にもよりますが500万円〜600万円程度で頭打ちになるケースが多く見られます。
管理薬剤師やエリアマネージャーになれば700万円〜800万円も見えてきますが、そこから先の大台に乗るには、雇われの立場では高い壁があります。
一方で、経営者になれば「利益」を生み出す構造そのものを所有することになります。
厚生労働省の調査などを見ても、個人経営の薬局における収支差額(利益に相当する部分)は、勤務薬剤師の給与水準を上回るケースが多く確認されています。
役員報酬と会社のお金のバランス
ただし、ここで理解しておきたいのが「会社の利益=個人の年収」ではないという点です。
法人化した場合、経営者は会社から「役員報酬」を受け取ります。
役員報酬の仕組み
役員報酬を高く設定すれば個人の年収は1000万円を超えますが、その分、会社の利益(内部留保)は減り、法人税などの負担も変わります。
また、社会保険料の負担も増えるため、手元に残るお金を最大化するためには、税理士と相談して最適なバランスを見つける必要があります
開業薬剤師の手取りと平均年収

「年収」という額面の数字と、実際に生活に使える「手取り」には大きな乖離があることも、開業前に知っておくべき重要な事実です。
一般的に、開業薬剤師の平均的な年収目安は700万円から900万円程度と言われています。
これは、開業初期のリスクヘッジや、借入金の返済を優先するために、あえて役員報酬を抑えているケースが含まれているためです。
キャッシュフローの罠
特に注意が必要なのが、銀行融資の返済です。
借入金の元本返済は「経費」になりません。
つまり、会計上は利益が出ていて税金を払わなければならないのに、手元の現金は借金返済に消えてしまい、経営者の手元にはほとんどお金が残らないという事態が起こり得ます。
| 項目 | 勤務薬剤師 | 開業薬剤師(経営者) |
|---|---|---|
| 収入の性質 | 給与(安定) | 役員報酬(業績連動・自己決定) |
| 社会保険料 | 会社と折半 | 法人の場合、実質全額負担(会社分+個人分) |
| 経費の活用 | ほぼ不可 | 事業関連性があれば経費計上が可能 |
薬局経営で年収2000万の壁

年収1000万円を超え、さらに「年収2000万円」を目指すとなると、プレイヤーとしての薬剤師業務だけでは限界が訪れます。
いわゆる「2000万の壁」です。
1店舗経営の限界
1店舗の薬局が上げられる利益には、物理的な上限があります。
処方箋1枚あたりの技術料や薬価差益が決まっている以上、24時間365日働き続けても、一人で生み出せる付加価値には限りがあるからです。
組織化という新たなハードル
この壁を突破するには、多店舗展開による組織化が必須です。
しかし、店舗を増やすということは、自分以外の薬剤師を雇用し、管理することを意味します。
- 薬剤師の採用コスト(紹介会社への手数料は年収の30%程度が相場)
- スタッフの離職リスクとマネジメントのストレス
- 店舗間の在庫管理や・シフト調整の複雑化
年収2000万円を実現している経営者は、優れた薬剤師である以上に、優れた「経営者」であり「リーダー」であることが求められるのです。
開業薬剤師が儲からない原因とは
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夢を持って開業したものの、「思ったように儲からない」
「勤務時代の方がマシだった」と嘆くケースも残念ながら存在します。
儲からない薬局には、構造的な原因があります。
処方箋枚数への過度な依存
最も大きなリスクは、特定の医療機関からの処方箋に依存しすぎる「門前薬局」モデルです。
元のクリニックの医師が高齢で閉院したり、診療方針が変わって処方箋枚数が減ったりすると、薬局の売上は瞬く間に激減します。
自分ではコントロールできない外部要因に経営の命運を委ねている状態は非常に危険です。
技術料単価の低下
また、「対物業務から対人業務へ」という国の施策により、単に薬を渡すだけの業務に対する評価(点数)は下がり続けています。
これまでのやり方に固執し、加算を取るための新しい取り組み(在宅医療や高度な薬学的管理)を怠っている薬局は、じわじわと利益率が低下し、儲からない体質へと陥っていきます。
開業薬剤師の失敗と年収ダウン

開業には「失敗」のリスクがつきものです。
最悪の場合、年収が下がるだけでなく、多額の負債を抱えて廃業することになります。
東京商工リサーチなどのデータによれば、2024年の調剤薬局の倒産件数は過去最多ペースで推移しており、業界淘汰の波が押し寄せています。
典型的な失敗パターン
このようなケースに注意
- 立地選定の甘さ:人通りや競合調査を怠り、患者が来ない場所に開業してしまう
- ドクターとの関係悪化:門前クリニックとの信頼関係が築けず、処方箋が他へ流れてしまう
- 資金ショート:運転資金の見積もりが甘く、調剤報酬が入金されるまでの数ヶ月を持ちこたえられない
特に資金繰りの失敗は致命的です。
黒字であっても現金が底をつけば倒産します。
自分の年収を確保する以前に、会社を存続させるための財務知識がなければ、生き残ることは難しい時代になっています。
開業薬剤師が年収を上げる戦略

厳しい現実をお伝えしましたが、それでも成功している薬剤師はたくさんいます。
彼らは環境の変化に適応し、戦略的に年収を上げるための手を打っています。
フランチャイズでの独立と年収

独立の第一歩として「フランチャイズ(FC)」を選択するのは、一つの有効な戦略です。
特に経営未経験者にとって、大手チェーンやFC本部の持つブランド力、ノウハウ、そして医薬品の購入ルート(価格交渉力)は大きな魅力です。
ロイヤリティと利益のトレードオフ
FC加盟のデメリットは、売上に応じたロイヤリティや加盟金の支払いです。
これにより、利益率は独自開業に比べて低くなります。
「年収の最大化」という観点では独自開業に劣る可能性がありますが、「失敗リスクの最小化」という点では優れています。
まずはFCで経営のイロハを学び、軌道に乗ってから契約満了後に完全独立を目指す、あるいは複数店舗経営に乗り出すというステップアップも考えられます。
薬局M&Aを活用した年収アップ

近年、薬剤師の間で注目されているのが「薬局M&A(事業承継)」による独立です。
後継者不足に悩む高齢の薬局オーナーから、店舗を譲り受ける方法です。
M&Aのメリット:時間を買う
新規開業の場合、患者さんが定着して黒字化するまでに半年から1年かかることも珍しくありません。
しかしM&Aであれば、開業初日から患者さんがいて、売上が立っている状態からスタートできます。
初年度から安定した役員報酬を確保できる可能性が高いのが最大の特徴です。
ただし、譲渡価格には「のれん代(営業権)」が含まれるため、それが適正価格かどうかを見極める財務デューデリジェンス(資産査定)が極めて重要になります。
高値掴みをしてしまうと、投資回収に長い年月がかかってしまいます。
地域支援体制加算と年収の関係

薬局の利益率を高め、経営者の年収を底上げするための鍵となるのが「技術料」です。
その中でも特にインパクトが大きいのが地域支援体制加算です。
この加算を算定できるかどうかで、年間の粗利益には数百万円の差がつきます。
これは売上ではなく「利益」の差ですから、そのまま経営者の年収や、次の投資原資に直結します。
加算取得のハードル
求められる要件
- 夜間・休日の対応実績(24時間対応体制)
- 在宅医療への参画実績
- 麻薬の調剤実績
- 地域医療機関への情報提供など
一人薬剤師での開業の場合、24時間対応は携帯電話を肌身離さず持つことを意味し、覚悟が必要です。
しかし、地域の輪番制に参加したり、ICTツールを活用したりすることで負担を軽減する工夫も可能です。
2024年改定後の年収への影響

薬局経営者にとって、2年に一度行われる「調剤報酬改定」は、年収の増減に直結する最大のイベントです。
これまでは「微調整」で済んでいた部分もありましたが、2024年の改定は、これからの薬局経営のあり方を根本から問う、非常に厳しい内容となりました。
「改定のたびに年収が下がるのではないか」と不安に思う方も多いでしょう。
実際、旧来型のビジネスモデルに固執している薬局にとっては、今回の改定は減収要因の塊です。
しかし、国が求める方向性、つまり「地域包括ケアシステムの一翼を担う薬局」へと舵を切っている経営者にとっては、むしろ評価が高まり、収益を伸ばすチャンスでもあります。
敷地内薬局モデルの事実上の崩壊
これから開業場所を選定する上で、最も警戒すべきなのが「敷地内薬局」や、特定の医療機関と極めて密接な関係にある「門前薬局」です。
2024年改定では、医療機関の敷地内に開設される薬局に対する「特別調剤基本料」の評価が、かつてないほど厳格化されました。
具体的には、特別調剤基本料が「A」と「B」に区分され、点数が大幅に引き下げられました。
これは、立地の優位性だけで集客し、実質的な医療連携や対人業務が不足している薬局に対する、国からの明確な「NO」のメッセージです。
安易に「病院の目の前だから儲かるだろう」と考えて物件を選ぶと、基本料の大幅減算により、働いても利益が出ない構造に陥るリスクが高まっています。
「賃上げ」への対応力が年収を左右する
また、2024年改定の大きな特徴として、医療従事者の賃上げを目的とした「ベースアップ評価料」の新設が挙げられます。
これは従業員の給与アップのための原資として算定できるものですが、経営者にとっては「採用戦略」に直結する問題です。
この仕組みを適切に活用し、スタッフの給与水準を上げられる薬局には優秀な人材が集まりますが、対応できない薬局は採用難に陥ります。
結果として、高い紹介手数料を払って人材を確保するか、経営者自身が現場に出ずっぱりとなり、経営に専念できなくなる(=組織的な収益アップが図れない)という悪循環に陥るのです。
(出典:厚生労働省『令和5年 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) 報告』)
医療DXへの投資と収益性
さらに、「医療DX推進体制整備加算」など、オンライン資格確認や電子処方箋への対応を評価する項目も強化されました。
これらは初期投資やランニングコストがかかりますが、導入しない薬局は加算が取れないだけでなく、業務効率でも劣後することになります。
これからの「稼げる薬局」の条件
- 立地依存からの脱却:特定の病院に頼らず、地域住民から選ばれる「かかりつけ機能」を持つ
- 在宅医療へのシフト:外来(対物)中心から、在宅(対人)中心へ収益構造を転換する
- DX投資:ITツールで業務を効率化し、浮いた時間で算定できる技術料を増やす
このデータやトレンドからも読み取れるように、個人経営の薬局であっても、高い収益性を維持しているところは「かかりつけ機能」や「在宅対応」に注力しています。
制度の変更を単なるピンチと捉えるか、競合が脱落していく中でのシェア拡大のチャンスと捉えるかで、数年後のあなたの年収には決定的な差が開くことでしょう。
まとめ:開業薬剤師の年収

最後に、開業薬剤師として成功し、高年収を実現するためのポイントを整理します。
- 年収1000万は通過点:経営者としての財務視点を持てば、十分に達成可能な数字です
- 組織化への挑戦:2000万円以上を目指すなら、自分一人ではなくチームで稼ぐ仕組み作りが必要です
- リスク管理の徹底:資金繰りと立地選定での失敗は命取りになります。事前のシミュレーションは悲観的に行いましょう
- 技術料の最大化:地域支援体制加算などのインセンティブを確実に取りに行く姿勢が、高利益体質を作ります
- 変化への対応:調剤報酬改定の流れを読み、対人業務や在宅医療へシフトできる薬局だけが生き残ります
独立開業は、薬剤師としてのスキルだけでなく、経営者としての覚悟と戦略が試されるフィールドです。
しかし、その厳しさを乗り越えた先には、雇われているだけでは決して見ることのできない景色と、納得のいく報酬が待っています。
この記事が、あなたの挑戦の一助となれば幸いです。
免責事項
本記事に記載されている年収や費用などの数値は、一般的なデータや市場の傾向に基づく目安であり、個別の事例における成果を保証するものではありません。
開業や経営に関する最終的な判断は、税理士、社会保険労務士、経営コンサルタントなどの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行ってください。
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