街中でよく目にする「調剤薬局」という看板ですが、実はこの名称が法律上の正式な名前ではないことをご存知でしょうか。
私たちが普段、病院等の帰りに何気なく利用している薬局には、大きく分けて「保険薬局」と「調剤薬局」という二つの呼び方が存在します。
この記事では、意外と知られていない保険薬局や調剤薬局の違いについて、基礎的な知識から実生活でのメリットまで、わかりやすく解説していきます。
記事のポイント
- 保険薬局と調剤薬局の法的な定義の違い
- 私たちが支払う薬代の負担額が変わる仕組み
- 看板や外観から簡単に見分けるポイント
- 転職や就職で知っておきたい待遇面の傾向
基礎から解説する保険薬局と調剤薬局の違い

まずは、この二つの言葉がそれぞれ何を意味しているのか、法律や制度の観点から詳しく整理していきましょう。
普段私たちが「調剤薬局」と呼んでいる場所の多くが、実は「保険薬局」という正式名称を持っている背景には、日本の医療制度が深く関わっています。
ここでは、その定義や具体的な見分け方について、深掘りして解説します。
- 参考資料:薬剤師法(e-Gov法令検索)
法律上の定義とわかりやすい解説

私たちが日常会話で使っている「調剤薬局」という言葉は、実は法律用語ではありません。
一般的に、医師の処方箋に基づいて薬を調剤する薬局全般を指す通称として、広く使われているのが実情です。
「調剤薬局」は通称、「保険薬局」は正式名称
一方で「保険薬局」とは、健康保険法などの公的医療保険制度に基づいて、厚生労働大臣の指定を受けた薬局のことを指します。
つまり、健康保険を使って保険調剤を行うことができる権限を持った薬局だけが、正式に「保険薬局」と呼ばれるのです。
指定を受けるための法的根拠
法律の観点からもう少し詳しく見てみましょう。
すべての薬局はまず、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づいて、所在地を所管する都道府県知事または保健所設置市の市長・特別区の区長などから薬局開設の許可を得る必要があります。
これは「薬局として営業しても良いですよ」という許可です。
しかし、それだけでは保険証を使った調剤はできません。
その上でさらに、健康保険法に基づく指定を受けた薬局だけが、正式に「保険薬局」として機能できるのです。
この二段階の手続きを経ているかどうかが、決定的な違いとなります。
「調剤薬局」は一般的な呼び名であり、「保険薬局」は保険指定を受けた正式な名称です。
世の中にある調剤薬局のほとんどは、実質的に保険薬局としての機能を持っていますが、言葉の定義としては区別して理解しておく必要があります。
保険適用の有無と薬代の負担額

患者さんにとって最も影響が大きく、かつ重要な違いとなるのが、窓口で支払う費用の負担額です。
ここを理解しておかないと、思わぬ出費につながる可能性があるため注意が必要です。
自己負担割合の仕組み
保険薬局では公的な医療保険が適用されるため、私たちが窓口で支払う薬代は、原則として自己負担分のみで済みます。
年齢や所得に応じて異なりますが、一般的には1割から3割の負担です。
残りの7割から9割は、加入している健康保険組合などが支払ってくれる仕組みになっています。
全額自己負担になるケースとは
しかし、もしも保険薬局の指定を受けていない薬局で調剤してもらった場合、健康保険が一切適用されません。
この場合、薬代は全額自己負担(10割負担)となってしまいます。
例えば、本来なら3,000円(3割負担)で済むはずの薬代が、保険が効かない薬局では10,000円(10割負担)請求されることになります。
同じ薬を受け取るとしても、支払う金額にこれほど大きな差が出てしまうのです。
補足
保険薬局の指定を受けていない薬局で調剤してもらった場合、いったん薬代を全額自己負担(10割負担)で支払うことになりますが、条件を満たせば、後日「療養費」として健康保険に申請することで、保険給付相当分の払い戻しを受けられる仕組みが用意されています。
看板や外観で見分ける簡単な方法

初めて訪れる薬局が、保険証の使える「保険薬局」なのかどうかを見分けるには、外観や看板の表示を確認するのが一番確実で早い方法です。
必ずチェックすべき3つの表示
保険薬局には、患者さんが認識しやすい場所に、以下のような表示を掲げることが一般的です。
- 「保険薬局」という明記された文字
- 「保険調剤」等の掲示
- 「処方箋受付」と書かれたのぼりや看板
ステッカーや掲示物の特徴
特に「処方箋受付」と大きく書かれている薬局のほとんどは、保険薬局と考えて問題ありません。
また、入り口の自動ドアや窓ガラスに、各種保険取り扱いのステッカーが貼られていることも多いです。
逆に、これらの表示が見当たらず、「漢方相談」や「健康相談」などがメインで掲げられている場合は、保険指定を受けていない可能性があるため、入店前に確認することをおすすめします。
ドラッグストアや漢方薬局の扱い

最近では、街中のドラッグストアの中に調剤スペースが併設されていたり、漢方専門店があったりと、薬局の形態も多様化しています。
これらは保険薬局として利用できるのでしょうか。
ドラッグストア併設店の利便性
ドラッグストア内に調剤スペースがある場合、その区画が「保険薬局」としての指定を受けていれば、病院の処方箋を持って行って保険適用の薬を受け取ることができます。
日用品の買い物のついでに薬を受け取れるため、非常に便利です。
ただし、受付時間がドラッグストアの営業時間とは異なる場合が多いので注意が必要です。
零売薬局や漢方相談薬局との違い
一方で、漢方薬局などは少し事情が異なります。
漢方薬局の中には、保険調剤を行わず、専門的な知識に基づいて自費での相談販売(独自調合など)をメインにしているところもあります。
また、最近増えている「零売(れいばい)薬局」も注意が必要です。
これは、処方箋なしで一部の医療用医薬品を販売する形態ですが、基本的に保険適用外の自費購入となります。
こうした薬局は「薬局」としての許可は持っていますが、「保険薬局」の指定は受けていないケースがあるのです。
補足
ドラッグストアでも、日用品の売り場とは別に調剤カウンターがあり、そこに薬剤師が常駐している時間帯であれば処方箋を受け付けてくれることが多いです。
入り口に「処方箋受付」ののぼりがあるかどうかが目印になります。
指定を受けるための基準と手続き

薬局が「保険薬局」になるためには、ただ店舗を開いただけでは認められません。
地方厚生局へ申請を行い、国が定めた一定の基準を満たして指定を受ける必要があります。
厳しい指定要件と更新制度
主な基準としては、以下のようなものが挙げられます。
- 薬剤師が常駐しており、調剤に応じられる体制があること
- 調剤に必要な設備や器具、医薬品の管理体制が整っていること
- 特定の医療機関と一体的な経営を行っていないこと(独立性の確保)
- 患者さんのための十分な情報提供体制があること
これらの基準は、患者さんが安全かつ適切に薬を受け取れるようにするために厳格に設けられています。
また、一度指定を受ければ終わりではなく、6年ごとの更新や定期的な指導監査があり、常に医療の質を維持することが求められています。
(出典:厚生労働省『医薬分業』)
目的別に見る保険薬局

ここからは、働く視点や利用する目的に合わせて、薬局の役割や特徴をさらに深く掘り下げていきます。
これから転職を考えている方や、より自分に合った便利な薬局の使い方を知りたい方に向けて、具体的な違いやメリットを見ていきましょう。
門前薬局とかかりつけ薬局の役割

同じ「保険薬局」であっても、その立地や果たしている役割によって、「門前薬局」と「かかりつけ薬局」という分類がされることがあります。
スピード重視の門前薬局
門前薬局は、特定の大きな病院やクリニックの目の前にあり、主にその医療機関からの処方箋を集中して受け付ける薬局です。
最大のメリットは、その病院でよく出される薬の在庫が豊富であることです。
特殊な薬であっても即座に用意できる可能性が高く、診察後すぐに薬を受け取りたい場合に適しています。
安全管理重視のかかりつけ薬局
一方、かかりつけ薬局(面分業)は、自宅や職場の近くにあり、複数の医療機関からの処方箋を一括して管理してくれる薬局です。
自分の服薬履歴やアレルギー情報を一か所で把握してくれているため、重複投与の防止や飲み合わせの確認をより確実に行ってもらえます。
複数の病院にかかっている方にとっては、安全性の面で大きなメリットがあります。
薬剤師や調剤事務の仕事内容

保険薬局で働くスタッフの業務も、一般の薬局とは少し異なる特徴があります。
薬剤師に求められる対人業務
保険薬局で働く薬剤師の仕事は、単に薬を棚から取り出す「対物業務」だけではありません。
処方箋の内容に間違いがないかを確認する「処方監査」や、患者さんに薬の効果や副作用を説明する「服薬指導」、そして薬歴の記録・管理といった「対人業務」が非常に重要視されています。
特に近年では、在宅医療への参画なども求められており、業務の幅は広がっています。
調剤事務の専門性(レセプト業務)
調剤事務の方々は、受付や会計業務に加え、保険請求(レセプト業務)という重要な役割を担っています。
これは、健康保険組合などの支払い機関に対して、調剤報酬を請求するための手続きです。
保険薬局ならではの専門的な知識が必要とされる業務であり、事務職としてのスキルアップにもつながります。
一方で、保険指定のない調剤薬局の場合、これらの保険請求業務が発生しません。
そのため業務内容がシンプルになる傾向がありますが、求人数としては圧倒的に保険薬局の方が多いのが現状です。
求人や給料などの待遇面の傾向

就職や転職を考える際、最も気になるのが給与や待遇面ではないでしょうか。
薬局の形態によって、給与体系や働き方には一定の傾向があります。
業態による給与の違い
一般的に、保険薬局は調剤報酬という国が決めた公定価格に基づいた収入があるため、経営が比較的安定しており、給与水準も一定の相場が形成されています。
残業が少なめで、土日祝日が休みの店舗も多いため、ワークライフバランスを重視する方に人気です。
一方、ドラッグストア併設の調剤薬局の場合、調剤業務に加えてOTC医薬品(市販薬)や日用品の販売業務が含まれることがあります。
業務範囲が広く、営業時間が長い分、給与が高めに設定されているケースも見受けられます。
ただし、夜間や土日のシフト勤務が発生する可能性もあるため、自分のライフスタイルに合わせた選択が重要です。
| 業態 | 特徴 | 給与傾向 |
|---|---|---|
| 調剤専門薬局 | 門前薬局が多く、病院の休診日に合わせて土日休みが取りやすい。
調剤業務に集中できる環境。 |
安定的 |
| ドラッグストア | OTC販売や店舗運営も兼務することが多い。
営業時間が長く、シフト制勤務が基本。 |
やや高め |
※上記の給与や待遇は、地域や企業規模により大きく異なります。
あくまで一般的な目安として捉えてください。
- 参考資料:薬剤師のリアルな年収事情(横浜薬科大学)
転職活動で意識すべき名称の扱い

実際に求人サイトを見ていると、「調剤薬局」という表記が非常に多く使われていることに気づくでしょう。
しかし、前述の通り、そのほとんどは実質的に「保険薬局」としての指定を受けています。
求人票の名称と実態のギャップ
求人を探す際は、「調剤薬局」か「保険薬局」かという名称だけにこだわらず、「保険調剤をメインに行っているか」
「どの科目の処方箋を主に扱っているか」といった実態を確認することが大切です。
名称が「○○ドラッグ」であっても、中身はバリバリの保険調剤薬局であることも少なくありません。
自分のキャリアプランとの照合
特に、未経験から調剤事務を目指す場合や、ブランクのある薬剤師さんの場合は、教育体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントになります。
専門的なスキルを身につけたいのか、それとも幅広い業務を経験したいのか、自分のキャリアプランに合わせて職場を選ぶ視点が必要です。
まとめ:保険薬局と調剤薬局の違い

ここまで詳しく解説してきた通り、「調剤薬局」は一般的に使われている通称であり、「保険薬局」は健康保険が使える指定を受けた薬局の正式名称です。
私たちが普段、病院から処方箋を持っていく薬局のほとんどは保険薬局であり、そこで働く人々は国の医療保険制度に基づいた重要な役割を担っています。
患者としては「保険が使える安心感と経済的メリット」を、働く側としては「専門性を活かせる安定した職場」を意識して、それぞれの薬局の特徴を正しく理解しておくことが大切です。
転職におすすめの転職エージェント

転職を考えているときは、まず転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。
多くの企業はすぐに活躍できる人を求めており、競争も激しくなっています。
そのため、自分の強みをしっかり伝えることが大切です。
書類や面接の準備を一人で行うのは大変ですが、転職エージェントなら企業が求める人材像をよく理解しており、的確なアドバイスをしてくれます。
希望する企業がある人ほど、個別の対策が必要です。
専門のサポートを受けながら、自分に合った職場への転職を効率よく進めていきましょう。
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