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薬剤師×ケアマネジャーのダブルライセンスで広がるキャリアと取得法

薬剤師として働きながら、「もっと患者さんの生活に寄り添いたい」と感じたことはありませんか?

私はこれま薬剤師として勤務してきましたが、在宅医療に関わる機会が増えるにつれて、薬の知識だけでは補えない部分があることを実感していました。

今回は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格について解説します。

今、超高齢社会を迎えた日本では、医療と介護をつなぐ専門家が強く求められています。

薬剤師とケアマネジャーのダブルライセンスを持つことで、患者さんの「薬の管理」だけでなく「生活全体のサポート」まで担える、唯一無二の存在になれるのです。

この記事では、私自身の視点も交えながら、薬剤師がケアマネジャーの資格を取得することの意義や方法、注意点まで丁寧にお伝えしていきます。

記事のポイント

  • 薬剤師がケアマネジャー試験を受験するための条件と流れ
  • ダブルライセンスがもたらす具体的なキャリアメリットと活躍の場
  • 薬剤師の強みを活かした効率的な試験対策のポイント
  • 資格取得前に知っておくべき注意点と現実的な考え方

薬剤師がケアマネを目指せる理由

薬剤師がケアマネを目指せる理由

受験資格と満たすべき実務経験

薬剤師がケアマネジャーの資格を取得するには、まず「介護支援専門員実務研修受講試験」(通称:ケアマネ試験)への合格が必要です。

この試験は各都道府県が実施するもので、薬剤師は受験資格対象の国家資格のひとつに明確に含まれています

ただし、薬剤師の免許を持っているだけでは受験できません。

以下の実務経験の条件を満たす必要があります。

  • 薬剤師資格に基づく実務経験が通算5年以上あること
  • その期間中に実際に業務に従事した日数が通算900日以上あること
  • 事務的な業務のみに従事していた期間はカウントされない場合があること
  • 調剤薬局・病院・ドラッグストアなどでの薬剤師業務が対象となること
ポイント
「5年以上・900日以上」という条件はセットで考えることが大切です。たとえば週4日勤務の場合、年間約200日前後の勤務日数になるため、900日に達するまでに4年半程度かかる計算になります。フルタイムで働いてきた薬剤師であれば、多くの方が条件を満たしやすいでしょう。

受験資格を満たしたら、毎年秋(10月頃)に実施されるケアマネ試験に申し込みます

合格後は「介護支援専門員実務研修」を受講し、修了することで晴れてケアマネジャーとして登録されます。

その後は5年ごとの更新研修が必要になります。

注意
受験資格や実務経験の算定方法は都道府県によって運用が異なる場合があります。申し込み前に、必ず受験を希望する自治体の最新の試験実施要項を確認してください。

ケアマネ試験の難易度と薬剤師の有利な点

ケアマネ試験は簡単な試験ではありません。

直近の試験結果を見てみましょう。

試験回次 受験者数 合格者数 合格率
第28回(令和7年度) 50,601人 12,961人 25.6%

(出典:厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」

合格率は約25.6%と、4人に1人程度しか合格できない試験です。

しかし、薬剤師には大きなアドバンテージがあります。

試験は「介護支援分野(25問)」と「保健医療福祉サービス分野(35問)」の計60問で構成されており、後者の医療系知識は薬剤師が得意とするエリアだからです。

  • 疾患・病態に関する問題は薬学の知識が直接活きる
  • 薬の副作用・相互作用の知識が強みになる
  • 医師・看護師との連携経験がケアマネ業務の理解を深める
  • 論理的・科学的な思考習慣が制度理解を助ける

一方で、「介護保険制度の仕組み」や「ケアマネジメントの流れ」といった内容は薬学部では学ばない分野です。

この部分を重点的に学習することが合格への鍵になります。

試験合格から資格登録までの流れ

ケアマネ資格の取得は、試験合格がゴールではありません。

その後の流れをご確認ください。

  • STEP1:各都道府県へ試験の申し込みを行う(毎年5〜6月頃)
  • STEP2:試験への合格(毎年10月頃に実施)
  • STEP3:「介護支援専門員実務研修」の受講(合格後に実施)
  • STEP4:研修修了後、都道府県への登録申請を行う
  • STEP5:介護支援専門員証の交付を受け、正式にケアマネとして活動開始
補足:資格の更新について
ケアマネジャーの資格は5年ごとの更新制です。更新のためには所定の研修を受講する必要があり、費用や時間的な負担も生じます。長く活用し続けるためには、取得後の維持コストも考慮した上で資格取得を目指すことをおすすめします。

ダブルライセンスで広がる可能性

ダブルライセンスで広がる可能性

医療と介護をつなぐ唯一無二の存在へ

薬剤師とケアマネジャーのダブルライセンスが持つ最大の価値は、「医療と介護、ふたつの専門言語を話せる唯一の存在になれる」ことです。

現場では、医師・看護師と介護スタッフがうまく連携できずに、情報が分断されてしまうケースが少なくありません。

薬剤師がケアマネの視点を持つことで、双方の橋渡し役として活躍できます。

  • 処方薬の副作用を介護スタッフにわかりやすく説明できる
  • ケアプランに薬学的なアドバイスを反映させられる
  • 退院後の在宅移行をスムーズにサポートできる
  • 多職種連携会議(サービス担当者会議)での発言に説得力が増す
ポイント
居宅療養管理指導(在宅の患者さんを薬剤師が訪問して行うサービス)を実施する際、ケアマネジャーへ適切な情報提供を行うことが法律上も求められています。ダブルライセンスを持つ薬剤師は、この情報提供の質が格段に高くなり、ケアプランの精度向上に直接貢献できます。

私自身も在宅患者さんを担当する中で、「なぜこの薬が処方されているのか」を介護スタッフに伝えることの難しさを感じていました。

しかし、介護保険制度やケアマネジメントの仕組みを学ぶことで、その説明の仕方が劇的に変わったという声を、資格取得者から多く聞きます。

活躍できる職場と業務の広がり

ダブルライセンスを取得することで、働ける場所や担える業務の幅が大きく広がります。

以下に主な活躍フィールドをまとめました。

活躍の場 主な業務内容 ダブルライセンスの活かし方
在宅専門薬局 訪問薬剤師として在宅患者を支援 ケアプランを読み解き服薬指導に活かす
介護老人保健施設 施設での薬剤管理・服薬指導 施設ケアマネと密に連携し処方改善を提案
居宅介護支援事業所 ケアマネとして担当利用者を持つ 薬剤師の専門知識をケアプランへ直接反映
地域包括支援センター 地域の総合相談窓口での支援 医療・介護の両面から総合的なアドバイス
病院・クリニック 入退院支援・地域連携業務 退院後の生活を見据えた薬学的管理

このように、薬剤師単体では踏み込めなかった「介護の世界」への扉が開かれます

特に在宅専門薬局や介護老人保健施設(老健)での評価が高く、採用面接における大きなアピールポイントにもなります。

キャリアアップと年収への影響

気になる年収への影響についても整理しておきましょう。

ダブルライセンスによる年収アップの形は、主に以下のルートが考えられます。

  • 勤務先での資格手当・専門職手当の追加支給
  • 居宅療養管理指導の件数増加による薬局収益への貢献→賞与・評価の向上
  • 在宅医療特化の職場への転職による待遇改善
  • 将来的な独立・開業の選択肢の拡大
注意
ケアマネジャー単体の平均年収は薬剤師よりも低い傾向があります。「薬剤師をやめてケアマネ専任になる」という選択は、収入面でのリスクを伴う可能性があります。あくまでも薬剤師の専門性を軸としながら、ケアマネの知識・資格を「プラスα」として活用するキャリア設計が現実的です。

一方で、今後の制度改定の動向についても見逃せません。

診療報酬・介護報酬の改定において、薬剤師の「対人業務」や「多職種連携」がより高く評価される流れが続いており、ダブルライセンス保有者の市場価値は中長期的に上昇していくことが予想されます

薬剤師がケアマネ試験に合格するコツ

薬剤師がケアマネ試験に合格するコツ

合格を左右する出題範囲の攻略法

ケアマネ試験は全60問で構成されています。

薬剤師がどのように戦略を立てるべきかをご説明します。

  • 保健医療福祉サービス分野(35問):薬剤師の得意領域。疾患、医薬品、検査値の知識を活かせる
  • 介護支援分野(25問):介護保険法の仕組みやケアマネジメントの流れが中心。ゼロから学ぶ必要あり

両分野でそれぞれ一定の正答率(概ね70%程度)をクリアする必要があります。

どちらか一方が極端に低いと、合格ラインを超えられない仕組みになっているため、得意分野だけを伸ばせばよいというわけではありません。

ポイント:薬剤師の失敗パターン
薬剤師は医療系の問題に自信があるため、「介護支援分野を軽視してしまい、そこで足を引っ張られる」というパターンが多いと言われています。合格のカギは、介護支援分野をていねいに学び込むことです。

独学でも合格できる勉強スケジュール

仕事をしながら学習を進める薬剤師の方向けに、現実的な勉強の進め方をご紹介します。

  • 学習開始〜2ヶ月目:入門テキストで全体像を把握。介護保険法の基礎用語に慣れることを最優先に
  • 3〜5ヶ月目:テキスト1単元→すぐに過去問を解くサイクルを定着させる。過去5年分は繰り返し解く
  • 試験1〜2ヶ月前:時間を計った模擬試験を実施。法改正情報の確認を忘れずに

毎日30〜60分のスキマ時間学習でも積み上げることができます。

通勤時間や休憩時間に、スマートフォンの過去問アプリを活用するのが特に効果的です

薬剤師の方は論理的思考が得意なので、用語の丸暗記よりも「なぜそのような制度なのか」という背景を理解することを優先してみてください。

通信講座の活用で合格率を高める

独学に不安を感じる方や、効率的に学習を進めたい方には通信講座の活用もおすすめです。

  • 最新の法改正情報がテキストに反映されている
  • 動画解説で制度の仕組みが視覚的に理解しやすい
  • 添削サービスや質問対応で学習の疑問をすぐに解消できる
  • 学習スケジュールが管理されているため怠けにくい

ユーキャンや大原など複数の通信講座がケアマネ試験に対応しています。

費用は数万円程度かかりますが、合格率アップへの投資として費用対効果は高いと考える方も多いです。

補足:介護保険法は3年ごとに見直しが行われています
介護保険法は3年ごとに大きな改正が行われ、毎年細かな変更も加わります。試験に出題される内容も最新の制度が反映されるため、参考書や問題集は必ず最新年度版を使用することが大切です。古いテキストをそのまま使うのは危険です。

資格取得前に知っておくべきこと

資格取得前に知っておくべきこと

本当に活かせる職場環境か考えよう

せっかくケアマネの資格を取得しても、それを活かせる職場環境でなければ宝の持ち腐れになってしまいます。

これは、ダブルライセンスを目指す前に必ず考えておきたい現実です。

  • 現在の職場が在宅医療・訪問対応に積極的かどうか
  • 多職種連携の会議や取り組みに参加できる環境かどうか
  • 資格取得後にケアマネ業務も担える制度・時間があるかどうか
  • 資格手当や評価制度が整っているかどうか

資格は取ることよりも、活かすことのほうが難しいというのが現実です。

まずは現在の職場環境を冷静に評価し、必要であれば転職や職場内での交渉も視野に入れておきましょう。

注意
ケアマネジャーとして担当できる利用者数には法定の上限があります(原則として利用者44人ごとに介護支援専門員1人が標準)。薬剤師業務と完全に並行してケアマネ業務を行うことは現実的に難しい場合もあります。自身の働き方や体力を考慮してキャリアプランを設計することが大切です。

更新研修と資格維持のコストを理解する

ケアマネ資格は取得して終わりではありません。

5年ごとの更新が必要で、その都度研修受講が求められます。

  • 更新研修の受講時間:最低でも数十時間規模の研修が必要
  • 研修費用:都道府県や実施機関によって異なるが数万円程度かかることが一般的
  • 仕事との調整:研修期間中は業務調整が必要になる場合がある
  • 研修の遅延リスク:更新期限を過ぎると失効するため、計画的な受講が必要

長い目で見たときの維持コスト(時間・費用)を理解した上で取得を目指すことが、後悔しないための大切なステップです

ダブルライセンスが輝くキャリアの方向性

最後に、ダブルライセンスが最も活きるキャリアの方向性を整理しておきましょう。

キャリアの方向性 具体的なイメージ 向いている人
在宅医療に特化する 在宅専門薬局でリーダーとして活躍 患者さんの生活に深く関わりたい人
施設薬剤師として深める 老健・特養での薬剤管理の専門家に 施設での長期的なケアに関心がある人
地域連携のキーパーソンに 地域包括支援センターや連携室勤務 コーディネートや調整業務が好きな人
管理・経営に活かす 薬局の在宅強化や新規開設に貢献 将来的に経営や管理職を目指す人

どの方向性を選ぶにしても、「薬剤師」という専門性の軸を大切にしながら、ケアマネの視点をプラスするという姿勢が最も重要です。

超高齢社会のピークに向けて、このダブルライセンスの需要は今後もますます高まっていくことが予想されます。

補足:在宅医療の需要拡大について
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となった現在、在宅医療の需要は急速に拡大しています。薬剤師の「対人業務」や「多職種連携」への評価を高める診療報酬・介護報酬改定の流れも続いており、医療と介護の橋渡しができる薬剤師の希少価値は高まり続けています。(参考:厚生労働省「介護支援専門員について」

まとめ:薬剤師×ケアマネのダブルライセンス

まとめ

この記事では、薬剤師がケアマネジャーの資格を取得することの意義、方法、そして注意点までをお伝えしてきました。

改めて重要なポイントを振り返ってみましょう。

薬剤師とケアマネジャーのダブルライセンスは、単なる「資格の数増やし」ではありません。

医療と介護をシームレスにつなぐことができる、希少で社会的価値の高い専門家への道です。

受験資格として「5年以上・900日以上の実務経験」が必要ですが、フルタイムで薬剤師として働いてきた方であれば、多くの場合条件を満たしています。

試験の合格率は約25.6%(第28回)と決して易しくはありませんが、薬剤師の医療知識というアドバンテージを活かしながら、介護保険制度の学習に注力することで合格の可能性を高めることができます。

最も大切なのは、資格取得後に「活かせる職場環境」を選ぶことです。

在宅医療に特化した薬局や介護施設は、ダブルライセンスが真の力を発揮できる場所です。

私自身も、患者さんの生活全体に寄り添えるプロフェッショナルを目指し、ケアマネの知識を深め続けることの大切さを感じています。

ぜひこの記事を参考に、自分らしいキャリアの未来を描いてみてください。

 

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