薬剤師のダブルライセンス｜年収アップとキャリアを拓くおすすめ資格

薬剤師としてのキャリアに行き詰まりを感じ、「何か新しい資格を取るべきか」

「もっと稼げる道はないか」とお悩みではありませんか。

薬剤師のダブルライセンスは、自身の市場価値を高め、キャリアの選択肢を広げるための有効な手段です。

この記事では、薬剤師のダブルライセンスに関するおすすめの選択肢を網羅的に解説します。

例えば、専門性を深める道として認定薬剤師や専門薬剤師、学生指導の道に進める認定実務実習指導薬剤師、スポーツ分野で貢献するスポーツファーマシストがあります。

一方で、キャリアチェンジや大幅な年収アップを目指す道として、法律の専門家である弁理士や、経営のプロフェッショナルである公認会計士、人事労務の専門家である社労士といった難関資格も視野に入ります。

さらに、医療チーム内での連携を強化する管理栄養士や看護師、究極の選択肢としての医師、そして高齢化社会で需要が高まるケアマネージャーなど、あなたの興味や目的に応じた多様な資格が存在します。

薬剤師のダブルライセンスは必要か

• 薬剤師におすすめのダブルライセンスとは？
• ダブルライセンスは本当に稼げるのか？
• 他の資格との組み合わせで価値を高める
• まずは認定薬剤師を目指すという選択肢
• 専門薬剤師で専門性をさらに高める

薬剤師におすすめのダブルライセンスとは？

薬剤師におすすめのダブルライセンスは、ご自身のキャリアプランによって大きく異なります。

なぜなら、目指す方向性によって最適な資格が全く違うからです。

例えば、現在の薬剤師としての専門性をさらに高めたいのであれば、認定薬剤師や専門薬剤師の資格が考えられます。

これらは薬剤師業務に直結し、特定の医療分野での深い知識とスキルを証明するものです。

一方で、キャリアの幅を大きく広げたり、大幅な年収向上を目指したりする場合は、弁理士や公認会計士といった異分野の国家資格が選択肢となります。

これらの資格は取得難易度が高いものの、薬剤師の知識と掛け合わせることで、他にない希少な人材となることが可能です。

また、地域医療や介護分野への貢献を考えているならケアマネージャー、食と健康の連携を深めたいなら管理栄養士といった資格も、薬剤師の業務と強い親和性を持ちます。

このように、自身の目的を明確にすることが、最適な資格選びの第一歩となります。

 

ダブルライセンスは本当に稼げるのか？

適切な資格を選び、戦略的にキャリアを築けば、ダブルライセンスによって収入を大幅に向上させることは十分に可能です。

その理由は、薬剤師の資格に加えてもう一つの専門性が付与されることで、対応できる業務の幅が広がり、人材としての希少価値が格段に高まるためです。

最も分かりやすい例が社会保険労務士（社労士）です。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、社会保険労務士（社労士）の平均年収は約903万円とされています。

一方、薬剤師の平均年収は約599万円という情報があり、両者には差が見られます。

 

社会保険労務士（社労士）

社会保険労務士（社労士）は、社会保険や年金、働き方に関する問題の専門家です。

会社の人事や労務に関する相談に乗ったり、複雑な手続きをお手伝いしたりします。

近年、働き方の問題が注目される中で、ますます重要性が高まっている資格といえます。

薬剤師の方がこの資格を持つと、患者さんが利用している健康保険の制度に詳しくなれます。

それにより、生活の背景まで考えた、より温かみのある服薬指導につながります。

また、お仕事が原因で心身の不調を抱える患者さんもいらっしゃいます。

そのような方へ、薬の知識と労働問題の知識の両面から、より的確なアドバイスができるようになるのも大きな強みです。

試験では医療に関する内容も問われるため、薬剤師としての知識が役立つ場面もありますよ。

 

資格取得のデメリット

資格取得には多大な学習時間と費用がかかることがデメリットです。

例えば、弁理士や公認会計士のような難関資格は、合格までに数千時間の勉強が必要と言われています。

また、認定薬剤師などの資格は、取得しても必ずしも大幅な給与アップに直結するわけではなく、資格手当の有無や金額は勤務先によって異なります。

したがって、目先の収入だけでなく、長期的なキャリアプランと投資対効果を考えて資格を選ぶことが大切です。

 

主要資格の平均年収比較

 

 

※上記の年収は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」のデータを参考に記載しています。

実際の年収は勤務先、経験、地域などにより変動します。

 

他の資格との組み合わせで価値を高める

薬剤師が持つ専門知識は、他の資格と組み合わせることで相乗効果を生み出し、ご自身の市場価値を飛躍的に高めることができます。

これは、「薬剤師としての知識」と「別分野の専門性」を掛け合わせることで、他の誰も持っていない独自の強みを確立できるからです。

具体例を挙げると、「薬剤師」と「管理栄養士」の資格を両方持っていれば、薬物治療の観点だけでなく、栄養学に基づいた食事指導も同時に行える専門家になれます。

糖尿病患者さんへの指導において、薬の説明と合わせて具体的な食事療法まで提案できれば、より質の高い療養指導が可能です。

また、近年注目されているDX（デジタルトランスフォーメーション）の分野では、「薬剤師」と「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」といったIT系の資格を組み合わせることで、薬局の業務効率化やシステム導入を推進できる人材として重宝されるでしょう。

電子薬歴の改善提案や、オンライン服薬指導システムの導入・運用など、医療現場のIT化に貢献できます。

このように、一見すると薬剤師の業務とは直接関係ないように思える資格でも、組み合わせ次第で新たな価値を創造できます。

ご自身の興味や将来のキャリアビジョンに合わせて、どのような掛け算が可能かを考えることが、他者との差別化を図る鍵となります。

 

まずは認定薬剤師を目指すという選択肢

薬剤師としての専門性を着実に深めていきたい場合、まずは認定薬剤師の資格取得を目指すのが有効な選択肢です。

認定薬剤師は、薬剤師の生涯学習に役立つ研修制度を通じて、特定の分野で優れた知識や技能を有することを証明する資格であり、実務に直結しやすいメリットがあります。

例えば、「研修認定薬剤師」は、かかりつけ薬剤師の算定要件の一つにもなっており、地域医療において患者さんから信頼される薬剤師として活躍するための基盤となります。

他にも、がん治療を支える「外来がん治療認定薬剤師」や、高齢化社会で需要が高まる「在宅療養支援認定薬剤師」など、多岐にわたる分野の認定資格が存在します。

取得方法としては、各学会や研修センターが実施する研修会への参加やe-ラーニングの受講を通じて、必要な単位を取得し、申請するという流れが一般的です。

ただし、資格を維持するためには数年ごとに更新が必要であり、継続的な学習が求められる点には注意が必要です。

また、資格手当の有無や額は勤務先によって異なるため、取得が必ずしも直接的な収入増につながるとは限りません。

しかし、専門性を客観的に証明できるため、転職市場でのアピールポイントになったり、職場での信頼を高めたりする効果が期待できます。

 

専門薬剤師で専門性をさらに高める

特定の医療分野におけるプロフェッショナルとして、キャリアの頂点を目指すのであれば、専門薬剤師の資格が目標となります。

専門薬剤師は、認定薬剤師の上位資格と位置づけられており、特定の医療分野において極めて高度な知識、技術、そして豊富な経験を持つことを証明するものです。

がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染症などの領域で認定制度が設けられています。

専門薬剤師になると、単に薬剤師業務を行うだけでなく、他の薬剤師への指導や、医療チーム内でのコンサルテーション、さらには臨床研究といった役割も担うようになります。

まさに、その分野の第一人者としての活躍が期待される存在です。

しかし、その道のりは決して平易ではありません。

専門薬剤師になるためには、まず下位資格である認定薬剤師を取得し、その後、学会が定める研修施設で数年間の実務経験を積み、多数の症例報告や学会発表などの厳しい要件をクリアした上で、認定試験に合格する必要があります。

取得難易度は非常に高いですが、その分、医療現場での発言力や影響力は大きく、キャリアにおける強力な武器となります。

特に、専門性の高い医療を提供する大学病院やがんセンターなどで活躍したいと考える薬剤師にとって、目指すべき一つのゴールと言えるでしょう。

 

薬剤師のダブルライセンスで広がるキャリア

• 医薬・バイオ特許に強い弁理士という道
• 医療分野に特化する公認会計士の強み
• 薬局経営に活かせる社労士の知識
• 患者指導に役立つ管理栄養士の資格
• 介護分野で活躍するケアマネージャー
• 看護師資格で患者にさらに寄り添う
• 医師を目指すという究極の選択肢

医薬・バイオ特許に強い弁理士という道

薬剤師からのキャリアチェンジで、大幅な年収アップと高い専門性を両立できる資格として、弁理士が挙げられます。

弁理士は、発明やデザインなどの知的財産を保護・活用する法律の専門家です。

薬剤師の資格を持つ弁理士は、医薬品やバイオテクノロジー分野の発明を深く理解できるため、製薬会社の研究開発部門や特許事務所で非常に重宝されます。

新薬の特許出願や、他社の特許を侵害していないかの調査など、薬学の知識がなければ適切に扱うのが難しい業務で、その能力を最大限に発揮できるのです。

大きなメリットとして、薬剤師は弁理士試験の一部が免除される制度があります。

論文式試験の選択科目が免除されるため、他の受験生よりも有利な立場で試験に臨むことが可能です。

一方で、弁理士試験は合格率が10%を下回ることもある難関国家資格であり、法律分野を一から学ぶ必要があるため、取得には相当な努力と時間が必要です。

しかし、薬剤師としてのバックグラウンドを活かせる数少ない法律系資格であり、成功すれば他に代えがたい専門家としての地位を築くことができます。

 

医療分野に特化する公認会計士の強み

薬剤師の資格と公認会計士の資格を組み合わせることで、医療業界に特化した会計のプロフェッショナルとして活躍の道が拓けます。

公認会計士は、企業の監査や会計、税務、コンサルティングを担う国家資格です。

医療業界は専門性が高く、診療報酬制度や医療法人の会計基準など、特有の知識が求められます。

薬剤師としての現場経験や業界知識を持つ公認会計士であれば、製薬企業や医療法人の経営課題を深く理解し、的確な経営コンサルティングを提供することが可能です。

これにより、一般的な公認会計士との明確な差別化を図ることができます。

例えば、製薬企業のM&A（企業の合併・買収）における価値評価や、医療法人の経営改善支援、新規開業クリニックの資金調達サポートなど、活躍の場は多岐にわたります。

薬剤師としての知見を活かし、薬価改定が企業の財務に与える影響を分析するなど、独自の価値を提供できるでしょう。

ただし、公認会計士試験も非常に難易度が高く、合格には長期間の学習が必要です。

また、資格取得後は監査法人などで実務経験を積むのが一般的であり、薬剤師としてのキャリアとは異なる道を歩む覚悟も求められます。

それでも、医療と経営の両方に精通した専門家として、ユニークなキャリアを築きたい方には魅力的な選択肢です。

 

薬局経営に活かせる社労士の知識

薬局の管理職や、将来的に独立開業を目指す薬剤師にとって、社会保険労務士（社労士）は非常に親和性の高い資格です。

社労士は、労働・社会保険に関する法律や、人事・労務管理を専門とする国家資格です。

薬局も一つの企業であり、従業員の採用から退職までの手続き、労働時間の管理、給与計算、就業規則の作成など、人事労務に関する様々な業務が発生します。

これらの業務は専門的な知識を要するため、社労士の資格を持つことで、法令を遵守した適切な薬局運営が可能になります。

特に、薬剤師は専門職であるため、その働き方に合わせた労働環境の整備が求められます。

社労士の知識があれば、従業員が安心して働ける職場作りを推進し、人材の定着率向上にも貢献できるでしょう。

また、コンサルタントとして、他の薬局やクリニックに対して労務管理のアドバイスを行うというキャリアも考えられます。

社労士試験の合格率は例年10%未満と難関ですが、薬局経営という明確な目的があれば、学習のモチベーションを維持しやすいかもしれません。

経営視点を持ち、組織運営にも貢献したい薬剤師にとって、有力な選択肢の一つです。

 

患者指導に役立つ管理栄養士の資格

薬物治療と食事療法は、多くの疾患において治療の両輪となるため、管理栄養士の資格は薬剤師の業務と非常に相性が良いと言えます。

管理栄養士は、栄養学の知識に基づき、個人の健康状態に応じた栄養指導を行う、食と栄養の専門家です。

薬剤師が管理栄養士の資格を持つことで、患者さんへの服薬指導に大きな深みと具体性が生まれます。

例えば、糖尿病の患者さんに対して、血糖降下薬の作用機序や副作用を説明するだけでなく、血糖値を安定させるための具体的な食事メニューや食材の選び方まで、専門的な観点から一貫してアドバイスすることが可能になります。

このような統合的なアプローチは、患者さんの治療への理解と実践（アドヒアランス）を向上させ、治療効果を最大限に引き出すことにつながります。

病院の栄養サポートチーム（NST）や、地域住民の健康サポート機能を担う薬局などで、その専門性を大いに発揮できるでしょう。

管理栄養士になるには、指定の養成施設を卒業する必要があるため、薬剤師になった後で取得を目指すには時間と学費がかかるというハードルがあります。

しかし、薬と食事の両面から患者さんの健康を支えたいという強い意志がある方にとっては、非常にやりがいのあるダブルライセンスです。

 

介護分野で活躍するケアマネージャー

超高齢社会が進行する日本において、在宅医療と介護の連携はますます重要になっています。

その中で、薬剤師がケアマネージャー（介護支援専門員）の資格を持つことは、地域包括ケアシステムにおける自らの役割を大きく広げることにつながります。

ケアマネージャーは、介護を必要とする方が適切な介護保険サービスを受けられるよう、ケアプランの作成やサービス事業者との連絡調整を担う専門職です。

薬剤師がこの資格を持つことで、医療と介護の架け橋となる重要な役割を果たせます。

例えば、在宅訪問を行う際に、患者さんの服薬状況だけでなく、介護サービスの利用状況や生活環境全体を把握し、多角的な視点からケアプランの見直しを提案できます。

薬の専門家として、使用している薬剤が介護に与える影響（ふらつきによる転倒リスクなど）を評価し、ケアマネージャーとして介護サービスの調整に活かすといった、専門性を掛け合わせた質の高い支援が可能です。

薬剤師は、5年以上の実務経験などの要件を満たせば、ケアマネージャーの受験資格を得られます。

厚生労働省の発表によると、ケアマネージャー資格を持つ薬剤師はまだ全体の数パーセントと少なく、希少価値が高い存在です。

在宅医療や地域医療に深く貢献したい薬剤師にとって、非常に有力な選択肢となります。

 

看護師資格で患者にさらに寄り添う

薬剤師として患者さんと接する中で、「もっと直接的なケアも行いたい」

「より深く患者さんに寄り添いたい」と感じる方にとって、看護師はキャリアの方向性を広げる一つの選択肢です。

看護師は、療養上の世話や診療の補助を通じて、患者さんの心身のケアを担う専門職です。

薬剤師と看護師、両方の資格を持つことで、薬物療法の深い知識と、臨床現場での実践的なケア技術を兼ね備えた、非常にユニークで価値の高い医療人になることができます。

特に、がん化学療法や感染管理、緩和ケアといった専門分野では、両方の知識が大いに役立ちます。

抗がん剤の副作用管理において、薬学的な知識に基づいた的確なアセスメントと、看護師としての適切なケアを同時に実践できる人材は、医療チームにとって非常に心強い存在です。

ただし、看護師になるためには、看護師養成所（専門学校や大学）で学び、国家試験に合格する必要があり、時間的・経済的な負担は非常に大きいという現実があります。

薬剤師としてのキャリアを一度中断する覚悟も求められます。

それでもなお、患者さんへの貢献の形を広げたいという強い情熱を持つ方にとっては、挑戦する価値のある道と言えるかもしれません。

 

医師を目指すという究極の選択肢

薬剤師としての知識と経験を活かし、医療への貢献をさらに高いレベルで追求する究極の選択肢として、医師を目指す道があります。

医師は、診断から治療まで、医療行為の中心的な役割を担う専門職です。

薬物療法のプロフェッショナルである薬剤師が医師になることで、薬の作用機序や体内動態、副作用に関する深い知識を臨床のあらゆる場面で活かすことができます。

特に、薬物治療計画を立てる際に、他の医師とは一線を画す、極めて精緻で論理的な処方設計が可能になるでしょう。

患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な薬物選択において、その能力は最大限に発揮されます。

しかし、この道は極めて険しいものです。

医学部に合格するための熾烈な受験競争を勝ち抜き、さらに6年間の厳しい教育課程と医師国家試験を乗り越えなければなりません。

年齢や経済的な問題も大きな障壁となります。

現実的には極めて少数派の選択肢ですが、薬学の知識を基盤に、医療全体を俯瞰し、自らの手で治療を完結させたいという強い意志を持つならば、不可能ではありません。

薬剤師から医師へというキャリアは、医療の世界で成し遂げられる最も大きな自己実現の一つと言えるかもしれません。

 

目的別に見る薬剤師のダブルライセンス戦略

• 学生指導を担う認定実務実習指導薬剤師
• スポーツ分野で貢献するスポーツファーマシスト
• 専門薬剤師として研究の道へ進む

学生指導を担う認定実務実習指導薬剤師

薬剤師としての経験を活かし、未来の薬剤師育成に貢献したいという志向を持つ方には、認定実務実習指導薬剤師が適しています。

この資格は、6年制薬学部の学生が薬局や病院で行う実務実習において、その指導者となるために必要な資格です。

この資格を取得することで、薬学生に対して質の高い指導を行うための知識と技術を有していることが公的に証明されます。

学生の指導を通じて、自身の知識を再確認し、ティーチングスキルやコミュニケーション能力を高めることができるのも大きなメリットです。

資格取得には、一定期間以上の実務経験に加え、薬学教育協議会が主催する講習会やワークショップを受講する必要があります。

資格を持つことで、薬局や病院内で教育担当者としての役割を任されたり、管理職へのステップアップにつながったりする可能性があります。

直接的な収入増に結びつくことは少ないかもしれませんが、自身の経験を次世代に還元するという大きなやりがいを得られる資格です。

後進の育成に情熱を注ぎたい、教育分野でキャリアを築きたいと考える薬剤師にとって、非常に価値のある選択肢です。

 

スポーツ分野で貢献するスポーツファーマシスト

スポーツへの関心が高く、アスリートを支える仕事に魅力を感じる薬剤師には、スポーツファーマシストという専門資格があります。

これは、日本アンチ・ドーピング機構（JADA）が認定する資格で、最新のドーピングに関する専門知識を持つ薬剤師であることを証明するものです。

スポーツファーマシストの主な役割は、アスリートが意図せずに禁止物質を摂取してしまう「うっかりドーピング」を防ぐことです。

市販の風邪薬やサプリメントにも禁止物質が含まれていることがあるため、薬の専門家としてアスリートや指導者からの相談に応じ、適切な情報提供を行います。

また、学校教育の現場でアンチ・ドーピングに関する講演を行ったり、国体などの大会で選手団をサポートしたりと、その活動は多岐にわたります。

近年、ドーピング問題への社会的な関心が高まっていることから、スポーツファーマシストの重要性は増しています。

資格を取得するためには、JADAが定める所定の課程を修了する必要があります。

薬剤師としての専門性を、スポーツという新しいフィールドで活かしたいと考える方にとって、ユニークで社会貢献度の高いキャリアを築ける魅力的な資格です。

 

専門薬剤師として研究の道へ進む

前述の通り、専門薬剤師は臨床現場における特定分野のスペシャリストですが、その役割は患者さんへの直接的なケアにとどまりません。

高度な専門性を活かして、臨床研究を推進し、新たなエビデンスを創出することも重要な使命の一つです。

専門薬剤師は、日々の臨床業務の中で生まれた疑問（クリニカル・クエスチョン）を研究テーマとし、その解決に取り組むことが期待されます。

例えば、がん専門薬剤師であれば、新しい抗がん剤の副作用マネジメントに関する臨床研究を計画・実行し、その成果を学会で発表したり、学術論文として公表したりします。

こうした研究活動を通じて得られた新たな知見は、その分野の診療ガイドラインに反映されることもあり、全国の患者さんの治療成績向上に大きく貢献することになります。

薬剤師が主体となって研究を行い、医療の発展に寄与することは、薬剤師の職能を社会に示す上で非常に大きな意義を持ちます。

この道に進むには、臨床能力だけでなく、研究計画の立案、データ解析、論文執筆といったリサーチマインドとスキルが不可欠です。

大学病院やがんセンターなど、研究活動が活発な施設に身を置くことがキャリア形成の上で有利になります。

臨床と研究の両輪で、薬物療法の未来を切り拓きたいと考える薬剤師にとって、挑戦しがいのあるキャリアパスです。

 

まとめ：最適な薬剤師のダブルライセンスを見つけよう

• 薬剤師のダブルライセンスはキャリアの差別化と価値向上につながる
• 年収アップを目指すなら弁理士や公認会計士が有力な選択肢
• 専門性を深めたい場合は認定薬剤師や専門薬剤師が目標となる
• 異分野の資格との組み合わせは独自の強みを生み出す
• 弁理士は薬剤師資格で試験の一部が免除されるメリットがある
• 公認会計士は医療法人の経営コンサルティングで活躍できる
• 社労士は薬局経営や労務管理に直接活かせる知識が得られる
• 管理栄養士との連携で薬と食事の両面から患者を支えられる
• ケアマネージャーは在宅医療と介護の架け橋として需要が高い
• 看護師や医師への道は患者への貢献の形を大きく広げる
• 認定実務実習指導薬剤師は後進の育成に貢献できる
• スポーツファーマシストはアスリート支援という専門分野を拓く
• 資格取得の目的（年収、専門性、キャリアチェンジ）を明確にすることが重要
• 取得には時間と費用がかかるため長期的な視点で計画を立てる必要がある
• 自身の興味や適性、キャリアビジョンに合った資格を選ぶことが成功の鍵となる

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

この記事では、薬剤師のダブルライセンスという選択肢が、ご自身のキャリアをいかに豊かにするかを多角的に解説いたしました。

年収の大幅な向上を目指せる弁理士や公認会計士から、日々の業務に直結する専門性を高める認定薬剤師、そして介護や栄養といった隣接分野で活躍の場を広げる資格まで、多様な道筋があることをご理解いただけたのではないでしょうか。

どの資格を選ぶべきか、すぐに答えを出すのは難しいかもしれません。

大切なのは、まずご自身が「将来どのような専門家になりたいか」「どのような働き方を実現したいか」というビジョンを明確にすることです。

その上で、この記事で興味を持った資格について、さらに詳しく情報を集めることから始めてみてはいかがでしょうか。

資格取得への道のりは決して平坦ではありませんが、挑戦した先には、今よりもさらに専門性が高く、やりがいに満ちた世界が広がっています。

この記事が、あなたの新しいキャリアを切り拓くための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。