「薬剤師の年収が低い」という言葉、インターネットの検索窓やSNSなどで頻繁に見かけて、不安に感じていませんか?
「6年制の薬学部を卒業して国家資格まで取ったのに、思ったほど高くない」
「業務の責任の重さを考えると割に合わない」といった声も多く、薬剤師の年収が低いというのは果たして嘘なのか真実なのか、私もずっと気になっていました。
実際のところ、薬剤師の年収の実態を示す中央値はいくらなのでしょうか。
また、男女差はどの程度あるのか。
勤務先によっても大きな差があると言われますが、病院薬剤師やドラッグストア勤務では具体的にどれくらい違うのでしょう。
「地方に行けば年収が上がる」という話は本当なのか、なぜ「給料が上がらない」という不満がこれほど多いのか。
さらには、AI化によって将来性が危ぶまれ、転職を考えるべきか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そうした「薬剤師の年収が低い嘘」という通説について、私がリサーチした様々な公的データや業界の構造的な要因を基に、その「嘘」と「真実」をできるだけ分かりやすく解き明かしていきます。
記事のポイント
- 統計データから見る薬剤師の平均年収
- 「年収が低い」と感じる構造的な理由
- 業種別・地域別に見るリアルな年収格差
- 将来性と年収アップのための具体的な戦略
薬剤師の年収が低いのは嘘?データで解明

世間で言われる「薬剤師の年収が低い」という説が、客観的な統計データ上では「嘘」である可能性について、さまざまな角度から検証していきます。
単なる平均値だけでなく、実態に近い中央値や、他の医療専門職との比較も見ていきながら、薬剤師の年収が社会全体でどの位置にあるのかを確認しましょう。
薬剤師の年収、中央値はいくら?

年収の話でよく使われる「平均年収」は、時に実態を見えにくくさせます。
例えば、製薬企業のMR(医薬情報担当者)など、一部の非常に高額な年収を得ている人たちが平均値をぐっと引き上げてしまうためです。
そこで、より私たちの実感に近いデータとされる「中央値(データを年収の低い順から高い順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る人の値)」を見てみましょう。
平均年収と中央値の乖離
過去の調査(2023年版doda調査)によれば、薬剤師の年収中央値は533万円でした。
令和5年厚生労働省の調査(令和5年 賃金構造基本統計調査)では、薬剤師の平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)は約580.5万円(※企業規模10人以上)と報告されています。
ポイント:中央値でも「高い」水準
しかし、ここで最も重要なのは、その「中央値533万円」という数字自体が、決して低い水準ではないという事実です。
例えば、日本の大学卒の平均年収(約514万円)や、全産業の平均年収と比較しても、薬剤師の中央値は依然として高い水準にあります。
国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」では平均年収は460万円です。
「一部が高いだけ」という主張は半分正しいものの、その「中央値」で見ても「薬剤師の年収が低い」と断言するのは難しい、というのがデータから見える実態です。
薬剤師の年収における男女差の実態

薬剤師という職業が持つ、もう一つの大きな特徴が「男女間の賃金格差(ジェンダー・ギャップ)が比較的小さい」ことです。
日本全体では、性別による賃金格差は依然として大きな問題です。
しかし、薬剤師の職場ではどうでしょうか。
医療専門職としての男女差
厚生労働省の調査(2025年版)を参考にすると、薬剤師の平均年収は男性が約651万円、女性が約556万円とされています。
この差額は約95万円です。
これに対し、全産業の平均は男性が約591万円、女性が約419万円と、その差は約171万円以上にも達します。
全産業平均と比較すると、薬剤師の男女間格差(約95万円)はかなり小さいことが分かります。
なぜ薬剤師は男女差が小さいのか?
これは、薬剤師が国家資格に基づく専門職であり、業務内容や給与体系(賃金テーブル)が性別によって左右されにくいことが最大の理由と考えられます。
また、資格職であるため需要が安定しており、ライフイベント(出産や育児)で一度キャリアを離れても、資格を活かして比較的容易に復職しやすい安定性も、女性の年収が下支えされる要因となっています。
特に、全産業の女性平均年収(約419万円)と比較すると、女性薬剤師の平均年収(約556万円)は130万円以上も高い水準です。
このデータからも、薬剤師は女性が専門性を活かして活躍しやすい、高水準の職業であることは間違いないでしょう。
病院薬剤師の年収は本当に低い?

では、なぜ「薬剤師の年収が低い」という声がこれほどまでに聞かれるのでしょうか。
その要因の一つが、勤務先(業種)による大きな年収格差です。
「薬剤師」と一口に言っても、働く場所は様々です。
そして、その勤務先によって年収は数百万円単位で変わってきます。
業種別・年収目安の比較
薬剤師の主な勤務先と、その年収目安を比較したデータを見てみましょう。
(※あくまで一般的な目安であり、地域や経験、役職によって変動します)
| 職場・職種 | 年収目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 製薬企業・MR職 | 700万~1000万円以上 | 高年収。
営業力や専門知識が必須。 |
| ドラッグストア勤務 | 約650万円前後 | 高水準。
OTC販売、マネジメント業務も含む。 |
| 調剤薬局勤務 | 約500万円程度 | 薬剤師の最大ボリュームゾーン。
安定。 |
| 病院勤務薬剤師 | 約450万円前後 | 最も低い水準。
スキル・キャリア重視。 |
この比較表からも明らかなように、病院薬剤師の年収(約450万円)は、他の業種に比べて低い水準にあることが分かります。
「年収が低い」という不満の声は、薬剤師の大多数が勤務する調剤薬局や、病院薬剤師の視点から発せられている可能性が極めて高いと推察されます。
注意:病院勤務の特性
病院薬剤師の年収が低い傾向にあるのは事実のようですが、これには理由があります。
病院は利益追求が第一の目的ではなく、公的な側面が強いため、給与水準が抑えられがちです。
しかし、その450万円という水準ですら、全産業の女性平均(約419万円)よりは高い点も見逃せません。
また、病院ではチーム医療の一員として、がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師など、高度な臨床スキルを磨くキャリアパスがあります。
年収だけでは測れない「やりがい」や「専門性の追求」を重視する人にとっては、非常に価値のある職場と言えます。
ドラッグストア薬剤師の年収比較

先の比較表で、病院や調剤薬局よりも高い水準だったのがドラッグストア勤務の薬剤師(約650万円前後)です。
なぜドラッグストアの年収は高い傾向にあるのでしょうか。
これは、調剤薬局や病院の薬剤師とは異なる業務内容が関係しています。
業務範囲の広さと年収
ドラッグストア薬剤師の業務は、処方箋に基づく調剤業務(調剤併設店の場合)だけに留まりません。
- OTC(一般用医薬品)の販売とカウンセリング
- 健康食品やサプリメント、化粧品に関する相談対応
- 店舗運営や商品管理、パート・アルバイトのマネジメント
- (店舗によっては)売上目標や販売促進活動
このように、調剤業務に加えて、一般消費者への「販売」や「店舗運営(マネジメント)」といった、よりビジネス・商売に近いスキルが求められます。
業務範囲が広い分、そのスキルが評価されて年収に反映されやすい構造になっているのです。
転職先としてのメリット・デメリット

調剤薬局からの転職先として人気が高いドラッグストアですが、メリットとデメリットがあります。
メリットは、前述の通り年収が高いこと、そして店長やエリアマネージャーといったマネジメント職へのキャリアパスが明確なことです。
デメリットは、業務負担が大きく、体力的にハードな側面があることです。
レジ対応や品出しを求められることもあり、調剤業務に集中したい人には向かない可能性もあります。
年収の高さだけでなく、業務内容がご自身の志向と合っているかを慎重に見極める必要があります。
地方で働く薬剤師の年収が高い理由

薬剤師の年収を決定づける、もう一つの非常に大きな要因が「勤務地(地域)」です。
実は、薬剤師の年収は、一般的なサラリーマンのイメージとは全く逆の現象が起きています。
顕著な「年収逆転現象」
多くの職業では、給与水準は物価や地価の高い「都市部(東京、大阪など)」が最も高く、地方に行くほど低くなるのが一般的です。
しかし、薬剤師の年収は、薬剤師が不足している「地方」の方が、薬剤師が飽和気味の「都市部」よりも高くなる「年収逆転現象」が顕著に見られます。
これは純粋に、需要(薬剤師を雇いたい薬局)と供給(働きたい薬剤師の数)のバランスによって決まっています。
薬剤師の確保が難しい地方の薬局は、都市部よりも高い給与水準を提示しなければ、人材を集められないのです。
都市部と地方の具体的な年収差
この地域間格差は、業種間の格差に匹敵する、あるいはそれ以上に巨大です。
ある調査データでは、年収が最も高い県(広島県:約707万円)と最も低い県(徳島県:約452万円)では、なんと平均年収に約255万円もの差が生まれていました。
これは、薬剤師のスキルや経験ではなく、ただ「どこで働くか」という地域偏在のみによって生じている格差です。
このデータは、国の統計調査からも裏付けられています。
(データ引用:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』)
(データ引用:マイナビ薬剤師)
年収アップの確実な戦略
「年収が低い」と嘆く薬剤師の多くは、薬剤師が飽和傾向にある都市部や、特定の低年収エリアに居住・勤務している可能性があります。
逆に言えば、もし現在のスキルセットのまま年収だけを大幅にアップさせたいのであれば、「地方の薬剤師不足エリアへ移動する」ことは、最も合理的で確実な戦略の一つと言えるでしょう。
薬剤師の年収が低いという嘘と、上がらない現実

さて、ここまでの分析で、薬剤師の年収は統計データで見る限り、「低い」どころか全産業平均や他医療職と比べても「高い」水準にあることが確認できました。
しかし、それでも多くの薬剤師が「年収が低い」「割に合わない」と感じているのはなぜでしょうか。
このセクションでは、「薬剤師の年収が低いという嘘」の裏に隠された、当事者たちが肌で感じている「年収が上がらない」というミクロな現実について、その構造的な要因を深掘りします。
なぜ薬剤師の年収は低いと感じる?

「年収が低い」と感じる最大の理由は、6年制薬学部という高い教育投資をしたにもかかわらず、その後の「キャリアを通じた年収の伸び悩み(頭打ち)」にあるようです。
薬剤師の年収カーブには、他の職業とは異なる特異な点があります。
高水準な初任給と、緩やかな昇給カーブ
薬剤師はキャリアの初期段階から高水準の収入を得やすいのが特徴です。
- 20代(約464万円): 全職種の20代平均(約372万円)より約90万円も高く、スタートダッシュが非常に早い。
- 30代(約528万円): スキル蓄積や役職手当(薬局長など)により順調に上昇。
- 40代(約564万円): 平均年収のピークに近づき、安定した水準を維持。
- 50代(約538万円): この年代から平均値は横ばい、あるいは緩やかな下降傾向が見られる。
このデータが示すのは、20代で464万円という高水準からスタートする一方で、40代のピークである564万円までのキャリア全体を通じた上昇幅が、平均で見ると約100万円に過ぎないという現実です。
データ引用:賃金構造基本統計調査
他業種との比較による「停滞感」
例えば、一般的な大手企業の総合職や、他の高度専門職(医師、弁護士など)が、年齢や役職と共に年収を数倍に増やしていくのと比較した場合、この昇給カーブの緩やかさは「停滞感」として感じられるでしょう。
「低い」の正体は「上がらない」という不満
つまり、「薬剤師の年収が低い」という感覚の正体は、絶対額が低いこと(これはデータ上誤り)ではなく、「これだけ頑張っているのに、将来的に年収が思ったほど上がらない」という、相対的な不満や将来不安である可能性が極めて高いのです。
薬剤師の給料が上がらない構造的課題

では、なぜ薬剤師の給料は、特にキャリア後半で「上がらない」のでしょうか。
この問題の根幹には、薬剤師の最大の勤務先である「調剤薬局」が抱える、ビジネスモデル上の構造的な課題があります。
(1) 診療報酬改定に左右されるビジネス
調剤薬局の収益源は、そのほとんどが国が定める公定価格、すなわち「診療報酬(調剤報酬)」によって成り立っています。
これは、薬局の売上や利益の上限が、国の医療費抑制政策の強い影響下に置かれていることを意味します。
国は2年ごとに診療報酬改定を行い、医療費全体の抑制を目指す中で、調剤報酬は常に引き下げ圧力にさらされています。
企業の売上が国の政策によって厳しくコントロールされるため、従業員である薬剤師への人件費(給与)の原資も自ずと抑制されます。
これが、個人の努力だけでは給与が上がりにくい最大の構造的要因です。
(2) 旧来型の「対物業務」中心の評価
多くの調剤薬局の内部評価は、いまだに「いかに迅速かつ正確に調剤(=対物業務)したか」という、旧来型の基準に基づいている側面があります。
しかし、国は診療報酬改定を通じて、この「対物業務」の評価を引き下げる(あるいは点数を付けない)方向にかじを切っています。
その代わりに評価を上げているのが、「対人業務」(かかりつけ薬剤師、在宅医療、服薬フォローアップ)です。
この「国の求める薬剤師像」と「現場(会社)の評価制度」のミスマッチが、「対人業務を頑張っても、それが給与に直結しない」というフラストレーションを生んでいます。
(3) キャリアパスの不足(ポスト不足)
調剤薬局における薬剤師の一般的なキャリアパスは、「一般薬剤師」から「薬局長(管理薬剤師)」で事実上、終着点となるケースが大半です。
もちろん、薬局長になれば年収は上がります。
しかし、その先の「エリアマネージャー」や「本部職(学術、人事など)」といった上位のキャリアパスは、ポスト(役職の数)が極めて限られています。
大多数の薬剤師は、薬局長のポストに空きが出ない限り、一般薬剤師のままキャリアを終えることになります。
これが、先ほど見た50代以降の年収の停滞・下降に直結しているのです。
AI化で変わる薬剤師の年収と将来性

「年収が上がらない」という構造的課題に加えて、薬剤師の将来性を不安にさせるもう一つの要因が「AI(人工知能)の台頭」です。
「AIに仕事を奪われるのではないか」という懸念です。
AIが得意な業務
この懸念は、特に従来の「対物業務」に依存している薬剤師にとっては、非常に現実的な脅威です。
以下の業務は、AIや調剤機器の導入によって最も効率化(=代替)されやすい領域です。
- 処方箋の監査(AIによる画像認識・重複チェック)
- 薬剤のピッキング(調剤ロボット)
- 在庫管理と発注業務
これらの業務は、今後ますます自動化が進み、人間の介在を必要としなくなるでしょう。
人間にしかできない業務(対人業務)
一方で、AIには代替不可能な、人間にしかできない業務領域も明確に存在します。
それこそが、国が推進する「対人業務」です。
- 患者の表情や声色、生活背景まで汲み取った上での服薬指導
- 複数の疾患や薬を抱える高齢者への複雑な薬学的管理
- 在宅医療における、医師や看護師、ケアマネジャーとの円滑な連携(多職種連携)
- 患者の不安に寄り添う心理的なサポート
結論:薬剤師のニーズは「二極化」する
高齢化が進む日本では、薬物治療の専門家である薬剤師の役割は、むしろ増大しています。
しかし、求められる薬剤師の「質」と「役割」は劇的に変化します。
今後、薬剤師の年収とニーズは「低い」のではなく、「二極化」していくと私は考えています。
- 価値が下がる(年収が停滞・下降する)薬剤師:AIに代替可能な「対物業務」に依存し、旧来型の評価制度の中で変化を拒む薬剤師。
- 価値が上がる(年収が上昇する)薬剤師:AIには代替不可能な「対人業務」へスキルシフトし、在宅医療や専門性を身につける薬剤師。
年収アップ戦略:業種転換と転職先

「年収が上がらない」現状を認識した上で、二極化の「価値が上がる」側へポジションを取り、年収を最大化するための実践的な戦略を、いくつかご紹介します。
最も分かりやすいのは、高年収が期待できる業種や地域へ「転職」することです。
(1) 製薬企業(MR・学術など)
最も劇的な年収アップ(目安700万~1000万円以上)を実現する可能性が高い選択肢です。
大手では1000万円を超えるケースも珍しくありません。
ただし、調剤業務とは全く異なる営業力やマーケティング、高度な学術知識が求められる、非常に狭き門でもあります。
(2) ドラッグストア
調剤薬局からの転職先として現実的でありながら、年収アップ(目安約650万円)が見込めます。
調剤業務に加えてOTC販売や店舗マネジメントのスキルを習得する意欲があれば、店長、エリアマネージャーとキャリアアップし、さらなる年収増も期待できます。
(3) 地方・薬剤師不足エリア
前述の通り、これは非常に合理的な戦略です。
現在の調剤スキルや経験をそのまま活かしながら、勤務地を変えるだけで年収を大幅に(地域によっては200万円以上)引き上げる可能性があります。
ライフスタイルの変化(引っ越し)を許容できるならば、最も確実な方法の一つです。
年収アップ戦略:専門性とキャリア

転職(環境を変える)だけでなく、現在の職場でキャリアアップを目指したり、自らの市場価値を高めるスキルを身につけたりすることも、年収アップの重要な戦略です。
(1) 管理薬剤師への昇進
現職(特に調剤薬局やドラッグストア)において年収を上げる最も王道な方法です。
「薬局長(管理薬剤師)」は、薬局の運営・管理の全責任を負う重要なポストであり、手当がつくことで年収が上がります。
何より、「管理薬剤師の経験」は、転職市場においても極めて有利に働きます。
(2) 専門・認定薬剤師資格の取得
これは、自らの専門性を客観的に証明する武器となります。
「研修認定薬剤師」の資格は、かかりつけ薬剤師の要件にもなっており、多くの薬局で評価されます。
さらに、「がん専門薬剤師」や「感染制御専門薬剤師」など、高度な専門資格は、特に病院薬剤師のキャリアアップや昇給に直結しやすいです。
(3) 「対人業務」スキルの習得
これが、AI化が進む未来で「価値が上がる薬剤師」になるための、最も本質的な戦略です。
国の政策(診療報酬)が評価する方向性と完全に一致しています。
- 在宅医療スキル: 高齢化で需要が急速に拡大しています。患者宅を訪問し、医師や看護師と連携できるスキルは、今後ますます重宝されます。
- かかりつけ薬剤師: 地域の患者から「かかりつけ」として指名されることは、薬局の収益(診療報酬)に直接貢献するため、薬剤師としての価値を分かりやすく高めることに繋がります。
まとめ:「薬剤師の年収が低い」は嘘か?

さて、ここまで長きにわたり「薬剤師の年収が低い」という説について、多角的に検証してきました。
本記事が提示する「薬剤師の年収が低い」という通説に対する、私の最終的な回答は以下の通りです。
1. 「薬剤師の年収が低い」という言説は、統計データ(全産業平均や他医療職との比較)に基づけば、明確な「嘘(誤解)」。
薬剤師の年収は、大学卒平均や全産業平均と比べても、客観的に「高い」水準にあります。
2. この誤解は、薬剤師内部に存在する巨大な「格差」によって生じている。
具体的には、(1) 業種間(例:製薬企業 vs 病院)、(2) 地域間(例:地方 vs 都市)の大きな年収差が、「低い」と感じる層を生み出しています。
3. 「低い」という感覚の正体は、「年収が上がらない(頭打ちになる)」という「真実」である。
特に最大の勤務先である調剤薬局において、診療報酬に依存するビジネスモデルや、キャリアパスの不足といった構造的問題が、キャリア後半の年収停滞を引き起こしています。
未来予測:薬剤師の年収は「低い」のではなく「二極化」する
AIに代替される「対物業務」に留まる薬剤師の年収は停滞・下降し、在宅医療や専門性など「対人業務」へシフトできる薬剤師の年収は、需要の高まりと共に上昇していくでしょう。
したがって、私たちが取るべき行動は、「年収が低い」と現状を嘆くことではなく、セクションIVで提示した戦略(業種転換、勤務地変更、管理職への昇進、対人業務スキルの獲得)を実行し、自らの市場価値を高め、二極化の「価値が上がる薬剤師」の側へポジションを取ることだと、私は考えます。
本記事に関するご注意
本記事で紹介した年収データや調査結果は、様々な公表資料や調査レポートに基づいたものですが、あくまで一般的な目安であり、特定の数値を保証するものではありません。
個別の給与や待遇は、勤務先の企業規模、地域、ご自身の経験年数、保有スキル、役職などによって大きく異なります。
転職やキャリアに関する重大な判断は、ご自身の責任において行うとともに、必要に応じて転職エージェントのキャリアアドバイザーなど、信頼できる専門家にご相談されることを強く推奨いたします。
転職におすすめの転職エージェント

転職を考えているときは、まず転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。
多くの企業はすぐに活躍できる人を求めており、競争も激しくなっています。
そのため、自分の強みをしっかり伝えることが大切です。
書類や面接の準備を一人で行うのは大変ですが、転職エージェントなら企業が求める人材像をよく理解しており、的確なアドバイスをしてくれます。
希望する企業がある人ほど、個別の対策が必要です。
専門のサポートを受けながら、自分に合った職場への転職を効率よく進めていきましょう。
セルワーク薬剤師
ファルマスタッフ

- 調剤薬局の求人が特に豊富
- 20代・30代に人気
- 派遣スタッフの福利厚生が充実
- 社会保険や労災保険が整っている
- エージェントが日程調整を代行
- 在職中も転職活動を進めやすい
- 面接対策や書類添削の支援あり
- 全国に拠点があり地方転職に強い
アプロドットコム

- 薬剤師専門で25年以上の実績
- 独立系で公平な求人提案が可能
- 多様な働き方に対応した求人紹介
- 手厚いキャリアコンサルティング
- 派遣社員向けのサポートが充実
- 詳細な条件を設定して求人を探せます
- 検索条件を保存でき再利用が便利
- 転職活動をスムーズに進められる
- 特定の薬局グループに属さない運営
- 同一担当者が企業と求職者を担当
- 福利厚生が充実し安心して働ける
- 有給や育児休業の取得が可能で安心
公式サイトはこちら

