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製薬会社研究職の年収は?仕事内容ときつさも解説

製薬会社研究職年収について関心をお持ちでしょうか。

この職種は、高い専門性が求められると同時に、高収入なイメージがあるかもしれません。

しかし、実際の仕事内容や、研究職になるにはどうすればよいのか、その実態は分かりにくいものです。

また、仕事がきつい、あるいは狭き門であるといった話を聞き、不安を感じる方もいるでしょう。

特に外資系製薬会社との違いや、女性の働きやすさについても気になるところです。

この記事では、製薬会社研究職の年収の実態、具体的な仕事内容、そしてキャリアを築くために必要なことについて、多角的に解説します。

記事のポイント

  • 製薬会社研究職の具体的な年収水準と高い理由
  • 研究職の詳しい仕事内容と厳しさの実態
  • 外資系企業や他職種との年収比較
  • 研究職になるための要件やキャリアパス

製薬会社研究職の年収は高い?

製薬会社研究職の年収は高い?

  • 製薬会社の平均年収ランキング
  • 年収が高いとされる3つの理由
  • 外資系製薬会社との年収比較
  • MRなど他職種との年収差
  • 研究職と開発職の年収水準

製薬会社の平均年収ランキング

製薬会社の平均年収ランキング

製薬会社の年収は、他の業界と比較して高い水準にあるとされています。

2024年度の有価証券報告書に基づく国内の医薬品企業90社の調査では、平均年収が1000万円を超えた企業は16社に上りました。

ただし、これは企業全体の平均であり、研究職に限定したものではありません。

また、ランキング上位にはバイオベンチャー企業が多く含まれる傾向があり、伝統的な大手新薬メーカーとは異なる場合があります。

参考として、2024年度の平均年収が高かった企業の例を以下に示します。

順位 企業名 平均年収(万円)
1 ネクセラファーマ 1952
2 サンバイオ 1641
3 シンバイオ製薬 1321
4 ソレイジア・ファーマ 1310
5 中外製薬 1207
6 ペプチドリーム 1169
7 第一三共 1114
9 武田薬品工業 1103
13 エーザイ 1055
14 アステラス製薬 1046

※2024年4月~2025年3月の本決算の有価証券報告書対象の集計データを基に作成

大手新薬メーカーに注目すると、中外製薬が1207万円でトップとなっており、第一三共、武田薬品工業、エーザイ、アステラス製薬なども1000万円を超える高い水準を維持しています。

 

年収が高いとされる3つの理由

年収が高いとされる3つの理由

製薬会社研究職の年収がなぜ高い傾向にあるのか、その背景には主に3つの理由が考えられます。

第一に、極めて高度な専門知識が必要とされる点です。

新薬の研究開発は、化学、生物学、薬学など多岐にわたる分野の深い知識が不可欠です。

多くの場合、大学院の修士課程や博士課程を修了した人材が求められ、その専門性に対する対価が年収に反映されています。

第二に、精神的な負担の大きさが挙げられます。

研究職は、一つの薬が世に出るまでに10年以上の歳月と莫大な費用を要する世界です。

人の命に関わるという重い社会的責任を背負い、常に緊張感を持って研究や実験に取り組む必要があります。

成果がすぐに出ないプレッシャーや、開発中止のリスクとも向き合わなければなりません。

第三に、製薬業界自体の利益率が高いことです。

新薬の開発に成功すれば、特許によって一定期間独占的に販売でき、莫大な利益を生み出す可能性があります。

日本政府も医薬品産業を成長分野と位置づけ支援しており、産業全体として高い付加価値を生み出す構造が、従業員の高い給与水準を支えています。

 

外資系製薬会社との年収比較

外資系製薬会社との年収比較

製薬業界において、日系企業と外資系製薬会社では年収や評価制度に違いが見られます。

日系企業は、伝統的に年齢や勤続年数に応じて給与が上昇する、いわゆる年功序列制度を採用しているケースが多いです。

福利厚生として住宅補助や退職金制度が充実している傾向もあります。

一方、外資系製薬会社では、能力や成果に基づいて評価される成果主義が主流です。

個人の実績が昇給やインセンティブ(報奨金)に直接反映されるため、若手であっても高い成果を上げれば大幅な年収アップが期待できます。

ただし、成果が振るわない場合の評価は厳しくなる可能性も否定できません。

また、日系企業のような手厚い住宅補助や退職金制度は設けられていない場合があり、その分を基本給やインセンティブで補うという考え方が一般的です。

 

MRなど他職種との年収差

MRなど他職種との年収差

製薬会社内での年収を比較すると、研究職と他の職種では差が見られます。

特に営業職であるMR(医薬情報担当者)は、研究職や開発職よりも平均年収が高い傾向にあります。

MRの年収が高い理由の一つは、営業成績に応じたインセンティブ(歩合給)が加算されるためです。

自社医薬品の採用実績が直接給与に反映される仕組みが、全体の年収を引き上げています。

年代別の平均年収目安を比較すると、以下のような違いが見られます。

職種 20代平均年収(目安) 30代平均年収(目安)
研究職 約400万円 約550万円
開発職 約400万円 約550万円
MR(営業職) 約500万円 約700万円

このように、MRは20代や30代の時点から研究職・開発職を上回る水準になることがあります。

 

研究職と開発職の年収水準

研究職と開発職の年収水準

製薬会社の職種の中で、しばしば混同されがちなのが「研究職」と「開発職」です。

業務内容は明確に異なりますが、年収水準に関しては大きな差がないとされています。

前述の通り、研究職と開発職はともに20代で約400万円、30代で約550万円前後が平均的な水準と見られています。

これは、どちらの職種も新薬創出のプロセスにおいて不可欠であり、高い専門性が求められる点で共通しているためと考えられます。

研究職が薬の「種」を見つける基礎的な段階を担うのに対し、開発職は薬の候補を実際の医薬品として世に送り出すための臨床試験などを担当します。

どちらも新薬が承認されるまでの長い道のりに欠かせない役割であり、同等の給与水準が設定されているのです。

 

製薬会社研究職の年収と仕事の実態

製薬会社研究職の年収と仕事の実態

  • 研究職の具体的な仕事内容
  • 基礎研究と応用研究の違い
  • 仕事がきついと言われる理由
  • 女性研究職の働きやすさ
  • 製薬業界の将来性と年収

研究職の具体的な仕事内容

研究職の具体的な仕事内容

製薬会社の研究職が担うのは、新しい医薬品を生み出すための根幹となる業務です。

そのプロセスは、大きく「基礎研究」と「応用研究」の二段階に分けられます。

基礎研究

基礎研究は、病気がなぜ起こるのかという根本的なメカニズムを解明したり、薬の標的となり得る新しい成分(化合物)を発見したりする段階です。

すぐに製品開発に直結するわけではありませんが、未来の新薬創出のために不可欠な知識や仮説を蓄積する重要な役割を持ちます。

具体的には、文献調査や実験を通じて新たな知見を探求し、薬の候補となる物質を見つけ出すための研究が行われます。

 

応用研究

応用研究は、基礎研究で見つかった知見や候補物質を、実際の医薬品として形にするための研究段階です。

応用研究は、さらに「探索研究」と「非臨床試験」に細分化されます。

探索研究では、基礎研究で得られた情報を基に、最も治療効果が期待できる化合物を探し出し、最適化する作業を行います。

非臨床試験では、探索研究で選ばれた候補物質の安全性や有効性を、動物や培養細胞を用いて検証します。

ここで毒性や副作用、体内での動態(吸収・分布・代謝・排泄)などが詳細にチェックされ、人に投与しても安全かどうかを厳しく評価します。

 

基礎研究と応用研究の違い

基礎研究と応用研究の違い

基礎研究と応用研究の最も大きな違いは、その目的にあります。

基礎研究の目的は、多くの場合「真理の探究」や「新たな知見の発見」です。

まだ解明されていない病気のメカニズムや生命現象を理解すること自体がゴールであり、直接的な利益や製品化を短期的に目指すものではありません。

一方、応用研究の目的は明確に「製品化」です。

基礎研究で得られた成果を利用し、いかにして安全で有効な医薬品を開発し、市場に提供するかという具体的なゴールに向かって進められます。

企業の利益に直結する研究段階と言えます。

 

仕事がきついと言われる理由

仕事がきついと言われる理由

製薬会社研究職の仕事は、高い年収水準の一方で「きつい」と言われる側面も持ち合わせています。

第一の理由は、前述の通り、新薬開発に伴う精神的負担の大きさです。

人の命を預かる責任感に加え、成果がいつ出るか分からないプレッシャーの中で、地道な実験を長期間続ける必要があります。

研究が途中で打ち切られるリスクも常にあり、忍耐力が求められます。

第二に、研究環境の厳しさが挙げられます。

研究成果は厳しく評価され、社内だけでなく世界中の研究者との競争にさらされます。

また、研究活動には多額の費用がかかるため、研究費を獲得するための努力や、限られた予算内で成果を出すやりくりも必要です。

第三に、ワークライフバランスの維持が難しい点です。

実験のスケジュールによっては長時間労働になったり、休日出勤が必要になったりすることもあります。

常に最新の論文をチェックし、自己研鑽を続ける必要もあり、プライベートとの両立に悩むケースも見られます。

 

女性研究職の働きやすさ

女性研究職の働きやすさ

製薬業界の研究職は、他の理系職種と比較して女性が多く活躍している傾向にあります。

専門性を活かしやすい環境であることに加え、研究開発の現場では、複数の業務を並行して進めるマルチタスク能力や、チーム内外と円滑に連携するコミュニケーション能力が重視されるため、女性の強みが発揮されやすいとも考えられています。

実際に、研究開発部門で女性比率が高い企業や、採用時点での女性比率が高い企業も見られます。

ただし、業界全体として課題が残っているのも事実です。

2023年度の調査では、国内製薬企業の女性管理職比率は平均11.9%と、政府が掲げる目標(30%)にはまだ及んでいません。

また、男女間の賃金格差も依然として存在するという指摘があります。

多くの企業が女性管理職比率の数値目標を設定し、育児休暇や時短勤務、在宅勤務といった制度を拡充するなど、女性がキャリアを継続しやすい環境整備に取り組んでいる最中です。

企業によって実態は異なるため、個別の取り組みを確認することが大切です。

 

製薬業界の将来性と年収

製薬業界の将来性と年収

製薬業界は現在、大きな転換期を迎えています。

2010年頃から、主力となってきた大型医薬品の特許が次々と切れ(いわゆる「2010年問題」)、安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)が普及しました。

さらに、国の医療費抑制策による薬価(薬の公定価格)の引き下げも、製薬会社の収益に影響を与えています。

このような環境下で、各社は収益を確保するために、より付加価値の高い新薬(特にバイオ医薬品や難病治療薬など)の開発に注力しています。

研究開発にはこれまで以上に莫大な費用がかかるため、企業の合併や再編も活発化しています。

このため、将来性という点では、競争はますます激化すると予想されます。

年収水準は当面高いレベルを維持すると考えられますが、それは同時に、より高度な専門性を持ち、革新的な新薬開発に貢献できる優秀な研究者への需要が高まることを意味しています。

成果を出せる研究者とそうでない研究者とで、待遇の差が広がる可能性も考えられるでしょう。

 

製薬会社研究職の年収とキャリア

製薬会社研究職の年収とキャリア

  • 研究職なるには何が必要?
  • 必要な学歴や専攻分野
  • なぜ研究職は狭き門なのか
  • 薬学部卒でも狭き門とされる実態
  • 求められる専門スキルと英語力

研究職なるには何が必要?

研究職なるには何が必要?

製薬会社の研究職に就くためには、まず学歴が非常に重要な要素となります。

多くの場合、応募資格として大学院の修士課程、あるいは博士課程を修了していることが求められます。

これは、学部卒の知識だけでは、高度な研究開発業務を遂行するのが難しいためです。

大学院での研究活動を通じて培われた専門知識、実験スキル、そして論理的思考力が不可欠とみなされます。

例外として、6年制の薬学部を卒業した場合は、修士課程修了者と同等と見なされ、応募資格を持つケースが一般的です。

 

必要な学歴や専攻分野

必要な学歴や専攻分野

製薬会社の研究職は、薬学部出身者だけが対象ではありません。

実際には、非常に幅広い理系分野の専門家が求められています。

もちろん薬学は中心的な分野の一つですが、それ以外にも、病気のメカニズム解明やバイオ医薬品の開発に不可欠な「生物学」「生命科学」、化合物の合成や分析を担う「化学」「応用化学」、薬の製造プロセスに関わる「化学工学」などの出身者も多く活躍しています。

近年では、AI創薬やビッグデータ解析の重要性が増しており、統計学、プログラミング、機械学習などに長けた「情報系」「数理系」の学生に対する需要も高まっています。

 

なぜ研究職は狭き門なのか

なぜ研究職は狭き門なのか

製薬会社の研究職が「狭き門」と呼ばれるのには、主に二つの理由があります。

一つ目は、募集人数の少なさです。

研究職は高い専門性が求められる職種であり、一度就職すると長く働き続ける人が多い傾向にあります。

つまり、離職率が低いために欠員が出にくく、新規の採用枠自体が限られているのです。

二つ目は、競争率の高さです。

前述の通り、薬学部だけでなく、理学部、工学部、農学部など、さまざまな分野の優秀な大学院生(修士・博士)が応募してきます。

このため、一つの採用枠に対して応募者が殺到し、非常に高い倍率となることが常態化しています。

 

薬学部卒でも狭き門とされる実態

薬学部卒でも狭き門とされる実態

6年制の薬学部を卒業すると、薬剤師国家試験の受験資格を得ると同時に、学歴上は「修士相当」として扱われることが多く、研究職への応募資格は満たせます。

しかし、薬学部卒であっても研究職への就職は簡単ではありません。

その理由は、前述の通り、博士課程を修了した学生や、他分野で高度な研究実績を持つ大学院生と、同じ土俵で競争する必要があるためです。

薬学部のカリキュラムは、薬剤師になるための広範な知識習得が中心となる場合があり、特定の分野を深く掘り下げる研究活動に充てる時間が、大学院の研究室に所属する学生より少ない可能性もあります。

そのため、薬学部出身というだけでは必ずしも有利とはならず、学生時代の研究実績や熱意が厳しく評価されます。

 

求められる専門スキルと英語力

求められる専門スキルと英語力

製薬会社の研究職として採用されるためには、学歴に加えて、具体的なスキルや経験が求められます。

最も重視されるのは、大学院での研究実績です。

執筆した論文の本数、国内外の学会での発表経験、受賞歴などは、自身の研究遂行能力を客観的に示す指標となります。

また、研究内容そのものだけでなく、研究を通じて培われた「論理的思考力」や「問題解決能力」も評価されます。

さらに、研究はチームで行うため、他者と円滑に連携するための「コミュニケーション能力」も不可欠です。

そして、非常に高いレベルの「英語力」が必須とされます。

最新の研究成果は英語の論文で発表されるため、専門的な文献を正確に読み解く読解力が求められます。

加えて、国際学会での発表や、海外の研究者と共同研究を行う機会も多く、英語でのコミュニケーション能力(スピーキング、ライティング)も重要視されます。

 

まとめ:製薬会社研究職の年収

まとめ

製薬会社研究職の年収やキャリアに関する要点を以下にまとめます。

  • 製薬会社の平均年収は他業界より高い水準にある
  • 国内大手新薬メーカーでは平均年収1000万円を超える企業も多い
  • 年収が高い背景には「高度な専門性」「精神的負担」「業界の利益率」がある
  • 外資系企業は成果主義、日系企業は年功序列の傾向が見られる
  • 年収はMR(営業職)の方が研究職より高いケースが多い
  • 研究職と開発職の年収水準は同等とされる
  • 研究職の仕事は「基礎研究」と「応用研究」に大別される
  • 基礎研究は真理の探究、応用研究は製品化を目的とする
  • 仕事がきつい理由として「成果へのプレッシャー」「競争環境」「WLBの難しさ」がある
  • 研究職は女性比率が比較的高く、活躍している人も多い
  • ただし管理職登用や賃金面では業界全体で男女差の課題も残る
  • 業界は特許切れや薬価改正により、新薬開発競争が激化している
  • 研究職になるには修士課程または博士課程の修了がほぼ必須
  • 6年制薬学部卒は修士相当と見なされる
  • 薬学部以外にも生物学、化学、工学、情報系など幅広い理系専攻が求められる
  • 募集枠の少なさと競争率の高さから、研究職は「狭き門」とされる
  • 薬学部卒でも博士課程修了者などとの厳しい競争がある
  • 研究実績、論理的思考力、コミュニケーション能力が求められる
  • 論文読解や学会発表のため、高度な英語力は必須のスキルである

今回は、製薬会社研究職の年収について、具体的なランキングや年収が高い理由、そして外資系企業やMRといった他職種との比較を交えて解説いたしました。

また、年収だけでなく、研究職の具体的な仕事内容、「基礎研究」と「応用研究」の違いにも触れています。

さらに、「きつい」と言われる理由や、「狭き門」とされる背景、女性の働きやすさといった実態についても掘り下げました。

前述の通り、製薬会社の研究職に就くには、修士課程や博士課程の修了といった高い学歴や専門スキル、英語力などが求められます。

簡単な道ではありませんが、人々の健康や命に貢献できる大きなやりがいと、それに見合う報酬水準が期待できる魅力的なキャリアであることも事実です。

この記事で提供した情報が、製薬会社研究職という仕事への理解を深め、ご自身のキャリアを考える上での一助となれば幸いです。