調剤薬局やドラッグストアの求人を見ていると、「管理薬剤師募集」や「薬局長候補」といった言葉が並んでいるのをよく目にします。
現場で働いている方でも、なんとなく「どちらも責任者」という認識はあるものの、具体的にどのような権限の違いがあるのか、法律上の位置づけや業務範囲の境界線まで明確に答えられる方は意外と少ないのではないでしょうか。
私自身もキャリアを考える中で、「どちらを目指すべきなのか」「兼任すると大変なのか」と疑問に感じた経験があります。
そこで今回は、管理薬剤師と薬局長の違いについて、法的な定義から具体的な仕事内容、さらには気になる年収や手当の差に至るまで、徹底的に深掘りして解説します。
将来のキャリアプランを考える上での参考にしていただければ幸いです。
記事のポイント
- 法律上の定義と店舗における責任範囲の明確な違い
- 具体的な業務内容や年収・手当の傾向と相場
- それぞれの役職を目指すために必要な条件や求められるスキル
- キャリアアップや転職に向けた具体的なアプローチ方法
管理薬剤師と薬局長の役割の違いとは

まずは、それぞれの役職がどのような定義に基づいているのか、根本的な部分から見ていきましょう。
法律上の決まりや、店舗運営においてどのような権限を持っているのかを知ることで、両者の違いが明確になります。
法律で定められた役職かどうかの差
最も根本的かつ大きな違いは、その役職が法律に基づいているかどうかという点にあります。
管理薬剤師は「法的義務」がある役職
管理薬剤師は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」によって、薬局ごとに必ず1名配置することが義務付けられている法的な責任者です。
薬局の開設許可を申請する際には必ず管理薬剤師を登録する必要があり、変更があった場合も保健所への届け出が必須となります。
つまり、管理薬剤師がいなければ薬局として営業することすらできません。
薬局長は「組織上」の役職
一方で、薬局長というのは法律で定められた役職ではありません。
あくまで会社や組織の中で定められた「店舗の責任者」という位置づけです。
そのため、会社によっては「店長」「店舗管理者」「センター長」など呼び方が異なることもありますし、極端な話をすれば、薬局長という役職を置かない組織運営も法的には可能です。
管理薬剤師は法律(薬機法)で設置が義務付けられている公的な責任者ですが、薬局長は会社が独自に定める組織運営上のリーダーです
店舗における責任と権限の範囲

責任の所在についても、両者には明確な違いがあります。
一言で言えば、「守り」の責任か「攻め」の責任かという違いがあります。
管理薬剤師:医療安全とコンプライアンスの責任
管理薬剤師の主な責任は、医薬品の適切な管理と安全確保にあります。
薬機法に基づき、医薬品の品質管理や従業員の監督を行う義務があります。
さらに、薬局開設者(経営者)に対して、設備の改善や業務体制の見直しなど必要な意見を述べる権限(意見申述権)を持っています。
これは、利益追求よりも医療安全やコンプライアンスを優先させるための「守りの要」としての役割です。
薬局長:店舗運営と経営数値の責任
対して薬局長の責任範囲は、店舗運営全般と経営面に向いています。
スタッフのシフト管理や売上目標の達成、患者様へのサービス向上、経費のコントロールなど、店舗を円滑に運営し利益を出すことが求められます。
こちらは、組織マネジメントや経営という「攻めの要」に近い役割を果たします。
管理薬剤師と薬局長は兼任可能か

結論から言うと、管理薬剤師と薬局長は兼任が可能です。
むしろ、小規模な調剤薬局や一般的な店舗では、同一人物が両方の役職を兼ねているケースが非常に多いのが実情です。
兼任する場合、一人の薬剤師が「医薬品の管理責任(法的責任)」と「店舗の運営責任(経営責任)」の両方を負うことになります。
権限が集中するため意思決定が早くなり、現場の状況を把握しやすいというメリットがある一方で、業務負担が大きくなりやすく、プレッシャーも強くなるという側面もあります。
一方で、大規模な店舗やドラッグストアなどでは、役割分担を明確にするために別々の人物が担当することもあります。
この場合、薬局長が店舗運営全体を統括し、その下(あるいは対等な専門職)で管理薬剤師が医薬品管理に専念するという体制が取られることもあります。
病院やドラッグストアでの位置づけ

働く場所によっても、これらの役職の扱われ方は少し異なります。
それぞれの業態での特徴を見てみましょう。
病院の場合
病院の場合、法的には「管理薬剤師」という名称で置く必要はありませんが、実質的な責任者として「薬剤部長」や「薬局長(または薬科長)」といった役職が置かれます。
病院内での呼び方は様々ですが、組織の長として部内の人事や予算管理、院内の委員会活動など、組織マネジメントの役割が非常に強いです。
ドラッグストアの場合
ドラッグストア(調剤併設店含む)の場合、店舗全体の責任者である「店長」と、調剤部門や要指導医薬品販売の責任者である「管理薬剤師」が別に存在することがよくあります。
店長が薬剤師資格を持たない(登録販売者など)場合もあり、その際は管理薬剤師が薬事に関する全責任を負い、店長が物販の売上管理やスタッフ全体の労務管理を行うという協力体制が敷かれます。
業務内容から見る管理薬剤師と薬局長の違い

ここからは、実際の日々の仕事内容にどのような違いがあるのかを具体的に掘り下げていきます。
また、皆さんが最も気になるであろう年収や手当といった待遇面での違いについても解説します。
管理薬剤師が行う医薬品管理の仕事

管理薬剤師の業務は、法律で厳格に定められた内容が中心となります。
主な業務は以下の通りです。
- 医薬品の品質管理: 在庫の有効期限管理、温度・湿度管理、遮光保存などの適正管理。
特に麻薬や向精神薬、覚醒剤原料などの厳格な管理と記録
- 従業員の監督: 他の薬剤師や登録販売者、事務スタッフが法令やルールを守って業務を行っているかチェックし、必要な指導を行う
- 医薬品情報の収集と提供: 厚生労働省や製薬会社からの緊急安全性情報(イエローレター等)や回収情報を収集し、スタッフへ周知徹底する
- 副作用報告: 重篤な副作用が発生した疑いがある場合、国への報告を行う義務があります
これらの業務は、患者様の生命と健康を守るために欠かせないものであり、ミスが許されない責任の重い仕事です。
注意点
管理薬剤師は原則として「他店での兼業(副業)」が制限されています。
自身の管理する薬局に常駐し、実地で管理業務を行う必要があるためです
薬局長が担う売上や予算の管理

薬局長の仕事は、店舗を一つの「事業所」として成功させるための数値管理が中心です。
- 売上・利益管理: 月ごとの処方箋枚数、技術料、OTC売上などの目標に対する進捗管理
- 在庫回転率の適正化: 不動在庫の削減や、適正な発注管理によるキャッシュフローの改善
- 加算の算定状況管理: 地域支援体制加算や後発医薬品調剤体制加算など、経営に直結する加算要件を満たしているかの確認と、スタッフへの意識付け
- 経費削減: 消耗品費や光熱費の管理など、無駄なコストを抑える取り組み
このように、薬局長には数字に強くなる必要があり、経営者視点で物事を考えるスキルが求められます。
人材育成やシフト管理の担当者

「人」に関するマネジメントも、主に薬局長の重要な役割です(兼任の場合は管理薬剤師が行います)。
店舗の雰囲気や働きやすさは、薬局長の手腕に大きく左右されます。
労務管理
スタッフの希望休を聞きながら、業務に支障が出ないよう無理のないシフトを作成します。
また、有給休暇の取得推奨や、残業時間の管理など、労働環境の整備も行います。
教育・評価
新人薬剤師の教育カリキュラムを作成したり、OJTの進捗を確認したりします。
また、定期的な面談を行ってスタッフの悩みを聞き出したり、人事評価を行って昇給や賞与に反映させるための資料を作成することもあります。
医療機関との連携や情報共有業務

地域医療との連携窓口としての役割もあります。
これは管理薬剤師の業務とも重なりますが、店舗の代表として動くのは薬局長の役割となることが多いです。
- 疑義照会の円滑化: 近隣のクリニックや病院の医師と良好な関係を築き、処方内容についての問い合わせをスムーズに行える体制を作る
- トレーシングレポートの活用: 服薬情報提供書を通じて、患者様の服薬状況や副作用情報を処方医へフィードバックする
- 地域連携会議への参加: 在宅医療を行っている場合は、ケアマネジャーや訪問看護師など多職種との担当者会議に出席し、連携を深める
年収や手当に差が出るポイント

気になる待遇面ですが、一般的には役職手当の有無や、その金額によって差がつきます。
| 役職 | 手当の名称と傾向 | 年収イメージ |
|---|---|---|
| 一般薬剤師 | 基本給+薬剤師手当+残業代など | 平均的(400〜550万円程度) |
| 管理薬剤師 | 管理薬剤師手当(月3〜5万円程度が相場)
※会社により幅があります |
一般より高い(500〜650万円程度) |
| 薬局長 | 役職手当(会社規定による)
※店舗規模により変動する場合あり |
管理職待遇(550〜700万円程度) |
| 兼任 | 両方の手当が含まれる、または高額な「管理職手当」として一本化 | 最も高い傾向(600〜800万円以上も) |
管理薬剤師には「管理薬剤師手当」がつくことが一般的です。
薬局長の場合は「薬局長手当」や「店長手当」がつきます。
両方を兼任している場合は、手当が合算されるか、あるいはより上位の役職手当として一本化されることが多く、年収は高くなる傾向にあります。
補足:残業代について
薬局長や管理薬剤師になると、労働基準法上の「管理監督者」として扱われ、残業代が支給されなくなるケースがあります。
基本給や手当が増えても、残業代がなくなることで手取りが変わらない、あるいは時給換算で下がってしまう場合もあるため、転職や昇進の際は給与体系をしっかり確認することが大切です
キャリアアップの方法

最後に、これらの役職を目指すために必要な条件やスキル、そして具体的なキャリアアップの方法について解説します。
今の自分に何が足りないのか、どう動けばよいのかを確認してみましょう。
実務経験や認定薬剤師などの条件

まず、管理薬剤師になるための条件についてです。
以前は明確な要件はありませんでしたが、現在では薬機法の改正に伴い、一定の要件を満たすことが推奨されています。
厚生労働省のガイドラインでは、管理薬剤師の要件として以下の2点が示されています。
- 薬局における実務経験が5年以上あること
- 認定薬剤師の資格を持っていること
これらは法的な「絶対条件」ではありませんが、薬局の開設者が管理者を任命する際の重要な判断基準となります。
十分な知識と経験がないと適切な管理業務が行えないため、これから目指す方はまずこの要件をクリアすることを目標にすると良いでしょう。
(出典:厚生労働省『「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」について』)
一方、薬局長になるための法的な資格条件はありません。
しかし、会社によっては社内試験の合格や、一定の評価ランクに達していること、あるいは管理薬剤師要件を満たしていることが条件となる場合があります。
求められるマネジメント能力

どちらの役職を目指すにしても、現場の薬剤師としての調剤スキルだけでなく、以下のようなマネジメント能力が不可欠です。
薬局長に求められるスキル
- リーダーシップ: スタッフの意見をまとめ、店舗の方針を示す力
- 計数管理能力: 売上、利益、在庫などの数字を読み解き、改善策を考える力
- 問題解決能力: クレーム対応やスタッフ間のトラブルなど、予期せぬ事態に冷静に対処する力
管理薬剤師に求められるスキル
- リスク管理能力: ヒヤリハット事例を分析し、事故を未然に防ぐための仕組みを作る力
- 指導力: 法令遵守のために、年上のスタッフやベテランに対しても毅然と指導できる力
今の職場で昇進を目指すルート

現在働いている職場でキャリアアップを目指すなら、まずは日々の業務で信頼を積み重ねることが第一です。
その上で、「管理薬剤師や薬局長に興味がある」という意思を上司やエリアマネージャーに伝えておくことが大切です。
待っているだけではチャンスが巡ってこないこともあります。
後輩の指導を積極的に行ったり、店舗の課題解決(在庫削減や待ち時間短縮など)に自発的に取り組んだりと、リーダーとしての資質があることを具体的な行動でアピールしていきましょう。
社内研修や勉強会があれば積極的に参加し、必要なスキルを磨いておく準備も欠かせません。
転職で役職付きの求人を探すコツ

今の職場でポストが空いていない場合や、より良い条件でステップアップしたい場合は、転職も有効な手段です。
転職サイトなどで求人を探す際は、「管理薬剤師募集」や「薬局長候補」といったキーワードで検索します。
ただし、いきなり責任者を任されることに不安がある場合は、「管理薬剤師候補」や「次期薬局長候補」として入社し、現職の元でOJT研修を受けながらステップアップできる求人を探すのもおすすめです。
また、求人票を見る際は、以下のポイントを必ず確認しましょう。
- 管理薬剤師手当や役職手当の具体的な金額
- 残業代の支給有無(管理監督者扱いかどうか)
- 1人薬剤師体制になる時間帯の有無
- 求められる業務範囲(兼任か分業か)
転職エージェントを利用すれば、求人票には書かれていない企業の内部事情や、実際の業務負担についても詳しく教えてもらえることがありますので、活用してみる価値は十分にあります。
まとめ:管理薬剤師と薬局長の違い

今回は、管理薬剤師と薬局長の違いについて詳しく解説してきました。
管理薬剤師は法律で定められた医薬品管理と安全の責任者であり、薬局長は会社が定めた店舗運営と経営の責任者です。
役割や責任の範囲は「守り」と「攻め」という形で異なりますが、どちらも薬局を安全かつ円滑に運営し、地域医療に貢献するために欠かせない存在です。
多くの場合、これらは兼任されることが多いですが、それぞれの役割を正しく理解しておくことで、「自分はどちらのスキルを伸ばすべきか」「今の職場での立ち位置はどうなのか」といったキャリアの方向性がより明確になるはずです。
もし、今の環境でのキャリアアップに限界を感じていたり、自身の適性に悩みがあるなら、一度転職のプロに相談してみるのも良い選択肢です。
それぞれの役割を正しく理解し、あなたに合った働き方やキャリアパスを見つけてください。
転職におすすめの転職エージェント

転職を考えているときは、まず転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。
多くの企業はすぐに活躍できる人を求めており、競争も激しくなっています。
そのため、自分の強みをしっかり伝えることが大切です。
書類や面接の準備を一人で行うのは大変ですが、転職エージェントなら企業が求める人材像をよく理解しており、的確なアドバイスをしてくれます。
希望する企業がある人ほど、個別の対策が必要です。
専門のサポートを受けながら、自分に合った職場への転職を効率よく進めていきましょう。
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