「社会人から薬剤師になるには、どうしたらいいんだろう?」
そう検索されているあなたは今、ご自身のキャリアについて、深く真剣に悩まれていることと思います。
現在の仕事に一定のやりがいを感じながらも、将来の安定性や、年齢を重ねても続けられる専門性を考えたとき、「薬剤師」という国家資格がとても魅力的に映りますよね。
そのお気持ち、とてもよく分かります。
例えば、「働きながら資格は取れるのか」「少しでも独学で進められないか」といった切実な悩み。
あるいは、「薬学部には夜間や通信制があるのでは?」という、わずかな可能性にかけた情報検索。
さらに現実的な問題として、薬学部に入るための費用が最低いくら必要なのか、卒業までに一体何年かかるのか。
そして、「この年齢から挑戦して、本当に間に合うのか」という、何歳までという年齢の壁に対する大きな不安もあるかと思います。
社会人入試や学士編入といった特別なルートについても、情報が断片的で全体像が見えにくいと感じていませんか?
この記事では、私が時間をかけて調べ上げた、社会人から薬剤師を目指す上で直面する全ての現実的な壁と、それを乗り越えるための具体的な戦略について、網羅的に、そして分かりやすくまとめています。
記事のポイント
- 社会人が必ず直面する「5つの壁」の具体的な現実
- 「働きながら」や「通信・夜間」での資格取得が不可能な決定的理由
- 国立と私立の学費(費用)比較と、社会人が使える資金調達戦略
- 年齢の不安を解消するデータと、社会人経験を「武器」に変える方法
社会人が薬剤師になるには?5つの壁

社会人から薬剤師を目指す道は、制度上は年齢に関わらず開かれています。
しかし、率直に申し上げて、それは「働きながら週末の勉強で資格を取る」といった簡単な近道が用意されている世界ではありません。
まず最初に、私たちが向き合わなければならない、現実的かつ重大な「壁」について、一つずつ確認していきましょう。
独学や実務経験のみは不可能

まず、最も重要な大前提からお伝えします。
薬剤師は、人の命や健康に深く関わる医薬品を扱う、極めて専門性の高い国家資格です。
そのため、他の多くの資格試験、例えば簿記やIT系の資格のように「独学」でテキストや問題集をこなし、国家試験だけを受けて合格する、ということは絶対にできません。
また、「医療系の営業をしていた」「ドラッグストアで長年販売員をしていた」といった、社会人として培った関連業務の「実務経験」が、受験資格として考慮されることも一切ありません。
薬剤師になるための絶対的な条件は、薬剤師法によって厳格に定められています。
それは、大学の「6年制薬学部(薬学科)」を卒業(または卒業見込みであること)です。
この条件を満たした人だけが、初めて「薬剤師国家試験」の受験資格を得ることができます。
薬剤師になるための揺るぎない必須条件
- 6年制薬学部(薬学科)を卒業することこれが国家試験の「受験資格」を得るための唯一の方法です
- 薬剤師国家試験に合格すること(1)を満たした上で、この国家試験に合格する必要があります
- 薬剤師名簿への登録合格後、厚生労働省の薬剤師名簿に登録されて、初めて「薬剤師」として業務を行えます
この厳格な学歴要件こそが、薬剤師という仕事の高い専門性と社会的信頼性を担保しています。
したがって、社会人が薬剤師を目指す戦略は、「どうやって6年制薬学部に入学し、卒業するか」という一点に集約されるのです。
働きながらの両立は可能か

社会人の方が薬剤師を目指す上で、最も強く望むのが「現在の仕事を辞めずに、両立しながら資格を取得できないか」ということだと思います。
生活の基盤である収入を失うのは、あまりにも大きなリスクですよね。
私も当然、その道を真っ先に探しました。
しかし、これも結論から言えば、社会人としてフルタイムの仕事を続けながら薬学部を卒業することは、現実的に不可能です。
その理由は、6年制薬学部のカリキュラムが、私たちが想像する「大学の授業」とは比較にならないほど過密かつ拘束時間が長いからです。
座学の講義だけでなく、多くの時間を要する「実験」や「演習」、そして「実習」が、月曜日から金曜日までびっしりと詰まっています。
最大の壁:長期実務実習
特に、学年が上がるにつれてその負担は増大します。
4年次には、その後の実習に進むための全国共通試験(CBT・OSCE)があり、これに合格しなければなりません。
そして、それをパスした5年次以降には、薬剤師になるための最重要関門である「長期実務実習」が待っています。
長期実務実習とは?
病院と薬局の両方で、合計22週間(約5ヶ月半)にわたって行われる、フルタイムの臨床実習です
これは法律で定められた必須の課程であり、当然ながら平日の日中、医療機関の業務時間に合わせて行われます
この期間中は、フルタイムの仕事を両立させることは物理的に不可能です
また、実習以外にも、卒業論文のための研究活動、そして最終学年での国家試験対策と、学業に専念する環境が不可欠です。
週末だけのアルバイト程度なら可能かもしれませんが、社会人としてのフルタイム勤務はまず無理だと考えるべきです。
つまり、薬剤師になるためには、「現在の仕事を辞めて、最低6年間は学業に専念する」という、人生をかけた大きな決断が求められるのです。
夜間学部や通信制は存在しない

「日中のフルタイムが無理なら、夜間学部や通信教育はないのか?」——当然、次の疑問として浮かびますよね。
私も、社会人向けのそうした特別なルートがないか必死に探しました。
これも非常に残念ながら、薬剤師を養成するための6年制薬学部に「夜間学部」や「通信制」は、日本全国どこにも存在しません。
(2025年現在、私が調べた限り)
その理由は、前述の「働きながら」が不可能な理由と直結します。
薬剤師の教育には、座学では決して学べない、対面での厳格な指導が不可欠だからです。
- 医薬品を正確に扱うための、管理された環境下での「実験・実技」
- 患者さんの状態を評価する技術(フィジカルアセスメント)の「演習」
- そして、実際の医療現場での「長期実務実習」
これらは、通信教育や夜間の限られた時間では到底代替できない、薬剤師養成の根幹です。
そのため、薬剤師の受験資格を得るルートは、全日制(昼間)の6年制薬学部に通うという道以外にはないと認識することが重要です。
インターネット情報の「罠」に注意
とはいえ、インターネットで検索すると、「薬学部 通信」や「薬学部 夜間」といったキーワードで、いくつかの学校情報や講座がヒットすることがあり、混乱するかもしれません。
これらには注意が必要です。
その多くは、以下のような「薬剤師養成課程とは異なる情報」が混在しているためです。
よくある情報の誤解(検索時の注意点)
例1:薬剤師向けの「生涯学習」講座
例えば、慶應義塾大学の通信講座などが有名ですが、これらは「既に薬剤師免許を持っている人」が、認定薬剤師の単位取得や知識のアップデート(生涯学習)のために受講するものです
これを修了しても、薬剤師の国家試験受験資格は一切得られません
例2:薬剤師養成課程ではない学部・学科
大学によっては、同じ「薬学部」という名前でも、薬剤師養成(6年制)とは異なる「4年制の学科(例:薬科学科、創薬科学科など)」を併設している場合があります
これらは主に研究者や技術者を養成するコースであり、卒業しても薬剤師国家試験の受験資格は得られません
(過去に夜間学部が存在したケースもありますが、現在は閉講されているか、薬剤師養成課程ではありません)
例3:「働きながら資格取得」の文脈違い
「薬剤師が働きながら『ケアマネージャー』の資格も取得する」といった、薬剤師がさらなるキャリアアップのために別の資格を取得する際の話が、「薬剤師 働きながら 資格取得」というキーワードで混同されているケースも非常に多いです
これらの情報に惑わされず、「薬剤師免許取得=全日制6年制薬学部のみ」という事実を、スタートラインとして受け入れる必要があります。
費用は最低いくらかかる?

「6年間、学業に専念する」という覚悟を決めたとき、次に来る最大の現実的な壁が「資金」です。
6年間の学費、そして生活費は、極めて高額になります。
国立・公立大学と私立大学の学費目安
まず、進路によって学費に決定的な差があることを知っておく必要があります。
薬学部は、国立・公立と私立で、6年間の学費総額が数倍異なります。
薬学部6年間の学費総額(あくまで目安)
(入学金+授業料等の合計)
| 大学区分 | 6年間総額(目安) | (参考)初年度納付金 |
|---|---|---|
| 国立大学(標準額) | 約350万円 | 約82万円 |
| 公立大学(平均) | 約380万~450万円
(地域内・外で入学金が異なる場合あり) |
約80万~100万円 |
| 私立大学(平均) | 約1,000万~1,400万円
(大学による差が大きい) |
約180万~230万円 |
ご覧の通り、国立・公立大学と私立大学では、6年間で約3倍以上の学費の開きがあります。
私立大学は施設設備費や実習費などが高額になる傾向があり、この差は非常に大きいです。
忘れてはいけない「真のコスト」:生活費と逸失収入
そして、私たちが直視しなければならないのは、この学費だけではありません。
教科書代(薬学部の教科書は非常に高額で、初年度に約20万円、CBTや国試対策本も含めるとさらに費用がかかります)や、その他の諸経費もかかります。
しかし、それ以上に重くのしかかるのが、以下の2つです。
学費以外にかかる「真のコスト」
- 6年間の生活費仮に、一人暮らしの生活費が月15万円かかるとすれば、「15万円 × 12ヶ月 × 6年間 = 1,080万円」が学費とは別にかかります。実家通いでも、もちろん生活費はかかります
- 6年分の逸失収入もしフルタイムで働き続けていたら得られたはずの収入(機会費用)です、仮に年収400万円なら、6年で2,400万円の収入機会を失う計算になります
つまり、私立大学に進学して一人暮らしをする場合、学費1,200万円+生活費1,080万円=2,280万円以上の資金が最低でも必要になる、という試算も成り立ちます。
この「真のコスト」を直視し、6年間無収入でも生活できるだけの十分な貯蓄、あるいは確実な資金調達計画が不可欠です。
費用の注意点
ここで示した金額は、あくまで一般的な目安です。
実際の学費は、各大学の公式サイトや最新の募集要項で必ずご確認ください。
また、必要な生活費も個人のライフスタイルによって大きく異なります。
ご自身の状況に合わせた、厳密な資金シミュレーションを行うことを強く推奨します。
薬学部は何年かかるのか

費用と並ぶ大きなハードルが「時間」です。
薬剤師になるために必要な教育期間は、原則として「最短6年間」です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、以前は4年制でした。
しかし、医療技術の高度化、医薬分業の急速な進展、そしてチーム医療の重要性が増す中で、「より質の高い、臨床能力を持った薬剤師」を養成するため、2006年度の入学者から薬剤師養成課程は6年制に延長されました。
この6年間で、単に薬の知識を暗記するだけではありません。
インプットしたデータベースによれば、以下のような広範な能力を体系的に身につけるための期間とされています。
6年制薬学部で学ぶこと(教育の柱)
- 基礎薬学・医療薬学:薬が効く仕組みや、安全に使うための高度な専門知識
- 実験・研究:科学的思考力と技術を養うための実習・研究活動
- 臨床能力:フィジカルアセスメント(患者さんの状態を聴診器などで評価する技術)や、患者さんへの服薬指導など、実践的なスキル
- コミュニケーション能力:患者さんやその家族、医師、看護師など他の医療スタッフと円滑に連携(チーム医療)するための能力
- 長期実務実習:病院・薬局の実際の現場で、指導薬剤師のもとで学ぶ22週間の実践訓練
在宅医療や地域医療への貢献も期待されており、臨床現場で即戦力として活躍できる高度な技能と、何より高い倫理観を身につけるための期間が、この「6年間」なのです。
社会人にとって、キャリアを6年間ストップさせるのは非常に長く感じられますが、それだけの専門性を身につけるために法的に必須とされている期間である、という理解が必要です。
-
- 参考サイト:薬学教育制度の概要 - 文部科学省
社会人から薬剤師になるには?最短戦略

ここまで、「6年間の専念」「働きながらは不可能」「夜間・通信もない」「高額な費用」という、非常に厳しい現実的な壁について確認してきました。
「自分には無理かもしれない」と、心が折れそうになったかもしれません。
しかし、道が閉ざされているわけでは決してありません。
ここからは、社会人である私たちが、その高いハードルを乗り越えるために取りうる、現実的かつ戦略的な「4つのルート」と、社会人ならではの「強み」について具体的に解説していきます。
国立大学で学費を抑える

最大の課題である「費用」をクリアするための、最も有効かつ根本的な戦略は、「国立・公立大学の薬学部を目指すこと」です。
国立大学という最善手
前述の通り、私立大学と比べて6年間の学費総額には約3~4倍、金額にして数百万円から1,000万円近い差があります。
この差は、生活費や逸失収入という「真のコスト」を抱える社会人にとって、決定的に重要です。
もちろん、国立大学の薬学部は偏差値も高く、入試難易度は非常に高いです。
しかし、受験勉強に時間を投じて合格を勝ち取ること自体が、数百万円単位の投資額を圧縮する最も有効な戦略となります。
社会人としての貯蓄計画と並行し、まずは一般入試での国立大学突破を目標に据えることは、最も王道かつ強力な選択肢です。
【最重要】専門実践教育訓練給付金
もし私立大学に進学する場合、あるいは国立大学を目指す場合でも、社会人だからこそ使える「特権」とも言える制度があります。
それが「専門実践教育訓練給付金」です。
専門実践教育訓練給付金とは?
- 概要: 働く人の主体的なキャリアアップを支援するための、雇用保険の給付制度です
- 給付内容: 社会人が厚生労働大臣指定の講座(薬学部も多数指定されています)を受講した場合、教育訓練経費(学費)の50%(年間上限40万円)が訓練中に支給されます
- 最大給付額: 最大3年間、「40万円×3年=120万円」の学費補助が受けられる計算になります特例で「最大4年間」の可能性あり
- 受給資格: 一定の雇用保険被保険者期間(目安として通算2年以上など)が必要です
これは、社会人として雇用保険を納めてきた人だけが使える、最も強力な支援制度の一つです。
ただし、必ず大学の受講開始前に、ご自身の住所を管轄するハローワークで受給資格の確認と申請手続きを行う必要があります。
ご自身が目指す大学の薬学部が指定講座に含まれているかどうかは、厚生労働省の検索システムで事前に確認が可能です。
奨学金や教育ローンという選択肢
上記の給付金や自己資金だけでは不足する場合、奨学金や教育ローンの活用も視野に入れます。
薬学部は学費が高額なため、薬学生専用の奨学金(返済不要の「給付型」と、返済が必要な「貸与型」)が数多く設定されています。
社会人や再入学者が応募可能な制度も存在しますし、各大学が独自に設けている奨学金(成績優秀者向けなど)もあります。
また、日本政策金融公庫(国の教育ローン)や、銀行の教育ローンなど、条件や金利は様々ですが、不足分を補う選択肢として情報収集しておくことが重要です。
総合型選抜という選択肢

「費用」の次に立ちはだかるのが、「入試(学力)」の壁です。
高校卒業から時間が経過している社会人にとって、現役の高校生や浪人生と同じ土俵で、共通テストや各大学の一般入試(化学・生物・物理・数学・英語など)を戦うのは、学力的なブランクもあり、非常に大きな負担となります。
総合型選抜
また、大学によっては、学力試験の比重が低い、または面接やプレゼンテーションを重視する「総合型選抜」を実施している場合があります。
こちらも、社会人としての経験や学習意欲をアピールすることが、合否に有利に働く可能性があります。
注意として、学力試験の比重が低いことはあっても、完全に学力評価がないわけではありません。
実施大学の確認は必須
ただし、「総合型選抜」の実施状況、出願資格(社会人経験年数など)、選考方法は、大学や年度によって大きく異なります。
必ず志望する可能性のある大学の入試情報を、公式サイトで早期に、かつ詳細に確認してください。
学士編入で期間を短縮

もし、あなたが社会人の中でも、既に4年制大学を卒業している(=学士号を持っている)、または他大学(特に理系)に在籍していた経験がある場合、「編入学」という最短ルートが存在する可能性があります。
最強のショートカット戦略
これは、1年次から入学するのではなく、2年次や3年次、場合によっては4年次に直接入学できる制度です。
最大のメリットは、言うまでもなく6年間の学習期間を「5年間」や「4年間」に短縮できる点にあります。
これは、学費と生活費、そして「時間(機会費用)」という、社会人にとって最も重いコストを、文字通り数百万円単位で節約できる、最強のショートカット戦略と言えます。
ただし、非常に「狭き門」
非常に魅力的な制度ですが、誰もが使えるわけではなく、そのハードルは非常に高いのが現実です。
学士編入・転入学の注意点
- 募集人数の少なさ: 募集は「若干名」や、「欠員が生じた時のみ」という場合がほとんどで、毎年必ず募集があるとは限りません
- 出願資格の制限: 大学によりますが、「理系学部卒」「医療系学部卒」「関連単位を一定数取得済み」など、出身学部や履修状況が厳しく限定されることが多いです
- 試験の専門性: 募集があった場合でも、試験は化学、生物などの基礎学力試験に加えて、専門的な内容の小論文や、知識を問う口頭試問を含む面接などが課されることが多く、高度な準備が必要です
とはいえ、ご自身の経歴が「理系学部卒」などに当てはまる可能性が少しでもあるならば、これ以上ないほど強力な選択肢です。
各大学の募集要項に「編入学」「学士入学」「転入学」といった記載がないか、徹底的に調査する価値があります。
年齢の壁は何歳までか

「6年間も勉強したら、卒業する頃には30代後半、あるいは40代になってしまう…。
その年齢から新人としてスタートなんて、本当に可能なんだろうか」——この年齢に対する不安は、社会人にとって最も大きく、重い悩みの一つですよね。
制度上の年齢制限は「なし」
まず、安心してください。
大学入学や薬剤師国家試験の受験に、法律上の年齢制限は一切ありません。
制度上は、30代で薬学部に入学し、40歳で国家資格を目指すことは全く問題ありませんし、実際にそうした方もいらっしゃいます。
市場データが示す「40歳は遅くない」という現実
私が調べて最も勇気づけられたのは、厚生労働省が公表している薬剤師の年齢構成に関する統計データです。
「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によれば、全国の薬剤師のうち、最も多い年齢層は30~39歳(26.3%)、次いで40~49歳(22.8%)、50~59歳(19.1%)でした。
つまり、仮に34歳で入学し、ストレートで卒業して40歳で新人薬剤師になったとしても、それは市場で最も活躍している「ボリュームゾーン」に合流することを意味します。
決して「場違いな年齢」などではないのです。
さらに、薬剤師は60~69歳(13.2%)、70歳以上(5.1%)でも多くの方が現役で働いています。
薬剤師免許は一度取得すれば生涯有効です。
定年後の再雇用や、パートタイムでの転職も活発な業界です。
人生100年時代において、6年間の自己投資で、その後20年、30年、あるいはそれ以上活躍し続けられる専門職の地位を得ることは、極めて合理的で将来性のある戦略とさえ言えるのではないでしょうか。
社会人経験はメリットになる

「とはいえ、6年間もブランクができたら、知識も真っ白な新卒者より不利になるのでは?」という心配もあるかもしれません。
しかし、それは逆です。
むしろ、社会人経験は、新卒薬剤師にはない「最強の武器」となります。
武器1:コミュニケーション能力とビジネスマナー
現代の薬剤師の業務の核は、単なる薬の調剤(ピッキング)ではなく、患者さんへの「服薬指導」や、医師・看護師との「チーム医療」における連携です。
ここで、社会人経験が圧倒的に活きてきます。
薬剤師業務で直接活きる社会人スキル
- 患者対応(服薬指導):社会人経験で培った「丁寧な言葉遣い」「傾聴力(相手の話を深く聞く力)」、そして「相手の生活習慣やライフスタイルを把握する質問力」は、患者さんの不安を取り除き、信頼を得て、服薬コンプライアンス(正しく薬を飲むこと)を向上させる上で不可欠なスキルです
- チーム医療(連携):病院や薬局では、医師、看護師、同僚薬剤師との円滑な連携が求められます、社会人としての折衝能力、調整力、報連相といったビジネスマナーは、新卒者にはない大きな強みとなり、職場の即戦力として期待されます
高齢の患者さんへの対応や、難しい調整業務において、社会人経験者は新卒者よりも早く順応できる可能性が非常に高いです。
武器2:キャリアの多様性(調剤以外の道)
薬剤師の資格が活かせるのは、薬局や病院の「調剤業務」だけではありません。
社会人経験と薬剤師資格を「掛け算」することで、キャリアの選択肢はむしろ広がります。
社会人経験と掛け合わせるキャリアパス(例)
- MR(医薬情報担当者):前職が「営業職」だった場合、「薬剤師の専門知識」と「営業力」を併せ持つ人材として、製薬会社で即戦力として活躍でき、高収入も目指せます
- CRA(臨床開発モニター) / CRC(治験コーディネーター):前職で「プロジェクト管理」や「調整業務」の経験があれば、治験(新薬開発)の分野でそのスキルを直接活かすことができます
- その他:MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、メディカルライター、公務員薬剤師(保健所など)、製薬会社の品質管理・研究職など、多様な道が開かれています
30代、40代からの挑戦は決して遅くありません。
むしろ、社会人経験という「付加価値」を持つことで、卒業後のキャリア選択肢が広がり、新卒者よりも高いポジションや年収を得られる可能性すら秘めているのです。
まとめ:社会人から薬剤師になるには覚悟が必要

ここまで、社会人から薬剤師を目指すための現実的な道のり、戦略、そして可能性について、詳しく見てきました。
改めて、簡単な道ではないことがお分かりいただけたかと思います。
結論として、社会人から薬剤師になるには、人生をかけた「覚悟」が必須です。
「働きながら」「夜間」「通信」といった安易な道は存在せず、「最低6年間、学業に専念する」という大きな決断と、その間の「高額な学費と生活費」を工面するための緻密な資金計画が求められます。
しかし、道が険しいからこそ、その先にある薬剤師という資格の価値は高く、景気にも左右されにくい安定した専門職としてのキャリアが待っています。
社会人から薬剤師になるためのロードマップ(まとめ)
- 現実の直視と「覚悟」:「働きながら」は不可能と受け入れ、「最低6年間、学業に専念する」という覚悟を決めること
- 「費用」戦略の策定:最大のハードルである費用に対し、国立大学を目指すか、私立大学の「専門実践教育訓練給付金」や「給付型奨学金」を徹底的に活用する計画を立てること
- 「入試」戦略の策定:一般入試だけでなく、時間を短縮できる「学士編入」の可能性を徹底的に調査すること
- 「経験」の認識:過去の社会人経験はハンデではなく、未来のキャリアにおける「資産」であることを認識し、それを武器にする覚悟を持つこと
30代、40代からの挑戦は、決して遅すぎません。
この記事が、あなたの漠然とした憧れを、実行可能な「計画」に変えるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
最終的なご判断はご自身で慎重に
この記事で紹介した情報は、私が調査した時点での情報や一般的な目安に基づいています
特に、入試制度、学費、給付金や奨学金の制度は、年度によって変更される可能性が常にあります
必ず、ご自身で各大学の公式サイト、厚生労働省、ハローワーク、日本学生支援機構などの一次情報源で最新かつ正確な情報を確認し、ご自身のキャリアプランや経済状況と照らし合わせて、最終的な判断を慎重に行ってください
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そのため、自分の強みをしっかり伝えることが大切です。
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